神殺しのクロノスタシス3

「むーむー」

「何だよ」

むーむーおばけが、またしてもメモを差し出してきた。

『僕頑張ったじゃないですか。僕がいち早く爆発に気づいて異空間に飛んだから、皆さん無傷でいられたんですよ?』

だから感謝しろ、ってか?

冗談じゃねえこの妖怪。

「だったらわざわざ盾にならなくても、影武者の死体だけ飛ばせば良かったじゃないか」

何で、自らミンチになりにいったんだ。

すると。

『僕の空間魔法の精度って、そこまで高くないんで。自分ごと転送する方が楽だったもんで、つい。』

つい、じゃねぇ。

やっぱり口縫って正解。  

あれだけ、あれっ…だけ、自分が盾になって味方を守ろうとするのはやめろと。

口が酸っぱくなるほど、もうレモン百個分は酸っぱくなるほど言ってるのに。

こいつには、レモン百個では足りないのか?

「むー」

「何だよ」

千切ったメモには、一言。

『僕くらいになると、レモン千個はないと無理ですね(・ω<) 』

…。

「…イレース」

「はい」

「こいつ、全然反省してないみたいだからさ。なんか別の拷問考えてくれ」

「分かりました。では、今度学院長が何かしでかしたときに使おうと思っていた、ファラリスの雄牛を持ってきましょう」

良いもん持ってんなぁ、さすがイレース。

「むーむー!むー!」

むーむー言いながら、激しく抵抗するナジュ。

と、

「えっ。イレースちゃん本気?本気で私にそんなもの使うつもりだったの?え?私用なのそれ?嘘でしょ?え?え?」

まさか、自分の預かり知らぬところで、恐ろしい拷問具が用意されていたと知ったシルナ、激しく動揺。

「むー!むー」

ナジュが必死に紙をちぎって見せてくる。

書き殴ってるので、段々字が汚くなっていってる。

『そんなことしても、僕不死身だから死にませんよ!』

焦りが見える文面だ。

しかし。

「だからこそじゃないですか。死なないんだから、反省するまでじっくり炙ってあげますよ」

「むむむー!」

やめておけ。

イレースに、慈悲を期待するだけ無駄だ。

自分の浅慮を呪いながら、精々牛の悲鳴をあげるんだな。