神殺しのクロノスタシス3

成程。

手裏剣使いの水色は、利口だ。

あくまで俺との距離を取り、遠くから手裏剣をしゅんしゅん飛ばしてきた。

先程、俺が自分の時間を速め、肉薄するのを見たからだろう。

明らかに、俺の時魔法を警戒している。

だから距離を取り、あくまで俺との間隔を保ったまま、俺が手裏剣に当たるのを待っている。
 
それもそうだろう。

この手裏剣には、毒が塗られている。

一度でも手裏剣が当たれば、向こうの勝ちだ。

わざわざ俺の範囲に入ってくる必要はない。

安全圏から、しゅんしゅん手裏剣飛ばしてれば良い。

しかも。

「…」

俺は、ちらりと背後を見た。

随分離されている。

水色が派手に逃げ回るから、俺はさっきから、それを追ってるが。

そのせいで、俺は仲間達から距離を離されている。

数が少なくなってきた敵は、俺達を出来るだけ仲間のもとから引き離し、各個撃破を狙っているのだろう。

この旗色は、良くないな。

俺は、水色を追いかける足を止めた。

水色が、追いかけてこいと挑発するように、手裏剣を投げてきたが。

俺はその場でそれを避けるだけで、動かなかった。

これ以上は、離れない。

どれだけ手裏剣飛ばしてこようとも。

そちらのペースには、乗ってやらない。

何なら、水色は無視して、仲間の加勢に戻る。

その方が良い。

とにかく今避けるべきは、敵のペースに乗せられることだ。

だったら、今は止まり、

「…追わないのか」

「!?」

木陰から、姿を現したのは。

水色ではない。

そもそも、『アメノミコト』の暗殺者でもなかった。

「…お前…」

…ヴァルシーナ。

ナジュが最も警戒していた女が、俺の前に姿を現した。