神殺しのクロノスタシス3

それだけではない。

「令月!作戦その2!」

「分かった」

このメンバーの中で、最も俊敏な令月が動いた。

その素早い身のこなしは、とても手負いの身体とは思えなかった。

令月が動いたことで、当然暗殺者達は、令月の小太刀を警戒して構えた。

令月が力魔法以外使えないことは、敵もよく知っている。

令月には、主に小太刀による近接戦闘しか出来ない。

彼が攻撃するなら、懐に入ってくるしかないと踏んでいるのだ。

来るなら来いと、迎え撃とうとしているのだろうが…。

そうはさせない。

確かにここは、お前らのホームグラウンドかもしれないが。

戦い方まで、お前らに付き合ってやるつもりはない。

令月は、懐から出した小さなゴルフボールのようなものを、暗殺者達めがけて一つずつ投げつけた。

「!?」

爆弾か何か、だと思ったか?

ある意味、爆弾よりタチの悪い代物だぞ。

あっという間に。

『終日組』の暗殺者達は、カラフルになった。

比喩ではない。

本当に、カラフルになった。

令月が投げつけたのは、蛍光塗料がたっぷり詰まった、色とりどりのカラーボール。

夜でも光るよう、蓄光塗料仕様にしておいた。

大変だったんだぞ、何色も用意するの。

シルナの分身が、あちこちの工務店を走り回っわたんだからな。

暗殺者達は、それぞれ赤、白、緑、黄色、等々、カラフルな色に染まった。

ちょっと拭ったところでは落ちない。

「何の真似だ…?」

暗殺者の一人が、そう呟いた。

当然の疑問だろう。

だが、答えは簡単。

それは、目印だ。

我らが完璧なる「司令塔」の為の、な。

「ふむ、成程…。赤と紫は暗器使い、黄色は魔弾使いですね。で…青と緑は刀、ピンクは…可愛い色してる癖に、鉄甲使いなので近接戦闘に気をつけて」

「!?」

暗殺者、改め。

レインボー集団と化した彼らの顔に、驚愕が浮かんだ。

この塗料は、ナジュが読心魔法で敵の心を読み、俺達に情報を伝える為の目印だ。

色で区別すれば、分かりやすいだろう?

すると。

「ん?心を閉ざしましたね。読まれてることに気づきました?」

やはり、そう来るか。

ナジュに心を読まれていると知り、レインボー集団は瞬時に心を閉ざし、心の仮面を被った。

しかし。

俺達はむしろ、そのときを待っていたのだ。

「攻め時ですよ、皆さん。行ってらっしゃい」

「よし任せろ!」

「了解です」

「分かった」

俺とイレースと令月が、3方向に飛び出した。

俺は、赤の暗殺者…暗器を使うという暗殺者に肉薄した。

小賢しい暗器使いは、放っておくと何を企むか分からない。

早々に倒しておくべきだ。

同じくイレースも、暗器使いと判明した紫の暗殺者と相対していた。

逆に令月は、魔弾使いの黄色に肉薄していた。

近接戦闘が得意な令月にとって、遠距離戦闘専門の魔弾使いは、良いカモだ。

うちのキュレムなら、その辺の対策はきっちりしている…と言うか、シルナにさせられていたが。

黄色君、お前はどうかな?