神殺しのクロノスタシス3

一瞬、僕は迷った。

一人で背負うな、と言われた。

言われたけど。

でも、出来ない。

だって、そんなことをすれば…。

「…」

僕は、くしゃり、とそのメモ用紙を握り締めた。

…結局、僕は逃げられないということだ。

ならば、僕が向き合わなくては。

「…令月?どうかしたのか?」

「…何でもないよ」

僕は、ルームメイトにそう答えた。

そう、何でもない。

分かっていたことじゃないか。最初から。

『アメノミコト』を、裏切ったときから。

だから。

















「…ごめんね」

深夜、就寝時間が過ぎて二時間ほどがたった頃。

僕はそっとベッドから起き出し、向かい側のベッドに向かった。

ルームメイトの、ユイト・ランドルフ君の眠るベッドに。

僕は指先に仕込んだ針を、彼の首筋に当てた。

別に殺すつもりはない。

ただ、少し眠ってもらわなければならないから。

万が一、目を覚ますことがないように。

微量ながら、睡眠薬を注入させてもらった。

さぁ、これが終わったら。

そろそろ、約束の時間だ。

「…ちょっと、出掛けてくる」

僕は黒装束をまとって、夜の闇に溶け出した。