─────…暗殺者の魔の手が、すぐ傍まで近づいていることも知らず。
その日僕は、いつも通り放課後学習会を終えて、学生寮の自分の部屋に戻った。
すると。
「あ、お帰り令月」
「ただいま…」
ルームメイトのユイト・ランドルフ君が、僕に声をかけた。
「今日も熱心に、放課後勉強か?偉いなぁ」
「ありがとう」
褒めて頂いたところ、恐縮だが。
僕が放課後に勉強会を開いてもらってるのは、僕が今まで、ろくな教育を受けてこなかったから。
その皺寄せが、今更になって己の身に降りかかってきたというだけで。
僕が偉い訳じゃない。
「あ、そうだ。さっき寮長が来て、令月宛に手紙持ってきてたよ」
「え?」
イーニシュフェルト魔導学院の生徒は、全員学生寮に入っている。
故に、郵便物は全て、学生寮宛に送られ。
そこで寮長が仕分けをして、生徒個々人に届けられる。
ユイト君も、よく家族から手紙をもらっている。
しかし、僕に届けられる手紙なんて、これまで一通もなかった。
当たり前だ。
だって、僕に手紙を送る人物なんて、この世の何処にもいないのだから。
この国に僕の家族はなく、学院を一歩出れば、そこに僕のことを知ってる人間はいない。
精々、聖魔騎士団魔導部隊の人間に、顔を覚えられているくらいだ。
何せこの国に来て、まだ一年もたっておらず。
おまけに、学院に編入学して以来、学院の敷地から出たことさえないほどなのだから。
別に、禁じられていた訳ではない。
ただ僕が、外に出なかったというだけで。
それはともかく。
「僕に手紙…?」
「令月いなかったから、俺が代わりに預かっておいた。はい、これ」
ユイト君が、僕に封筒を差し出した。
何の変哲もない、ただの封筒。
学院の住所と、「黒月令月様」とだけ書いてある。
差出人の名前が書いてない。
それだけじゃない。
ユイト君は、気づかなかったようだが。
この封筒、切手が貼ってない。
つまり、郵便局を通さず、直接学生寮のポストに投函されたのだ。
だから差出人は、学院内の誰か、ってことになる。
一体この学院の何処の誰が、僕に手紙を?
…まずは、封を開けてみなければ始まらないか。
僕は、封筒の中身を開けた。
便箋は、入っていなかった。
代わりに、僕を一瞬で戦慄させるものが入っていた。
「…!!」
…これは…。
その日僕は、いつも通り放課後学習会を終えて、学生寮の自分の部屋に戻った。
すると。
「あ、お帰り令月」
「ただいま…」
ルームメイトのユイト・ランドルフ君が、僕に声をかけた。
「今日も熱心に、放課後勉強か?偉いなぁ」
「ありがとう」
褒めて頂いたところ、恐縮だが。
僕が放課後に勉強会を開いてもらってるのは、僕が今まで、ろくな教育を受けてこなかったから。
その皺寄せが、今更になって己の身に降りかかってきたというだけで。
僕が偉い訳じゃない。
「あ、そうだ。さっき寮長が来て、令月宛に手紙持ってきてたよ」
「え?」
イーニシュフェルト魔導学院の生徒は、全員学生寮に入っている。
故に、郵便物は全て、学生寮宛に送られ。
そこで寮長が仕分けをして、生徒個々人に届けられる。
ユイト君も、よく家族から手紙をもらっている。
しかし、僕に届けられる手紙なんて、これまで一通もなかった。
当たり前だ。
だって、僕に手紙を送る人物なんて、この世の何処にもいないのだから。
この国に僕の家族はなく、学院を一歩出れば、そこに僕のことを知ってる人間はいない。
精々、聖魔騎士団魔導部隊の人間に、顔を覚えられているくらいだ。
何せこの国に来て、まだ一年もたっておらず。
おまけに、学院に編入学して以来、学院の敷地から出たことさえないほどなのだから。
別に、禁じられていた訳ではない。
ただ僕が、外に出なかったというだけで。
それはともかく。
「僕に手紙…?」
「令月いなかったから、俺が代わりに預かっておいた。はい、これ」
ユイト君が、僕に封筒を差し出した。
何の変哲もない、ただの封筒。
学院の住所と、「黒月令月様」とだけ書いてある。
差出人の名前が書いてない。
それだけじゃない。
ユイト君は、気づかなかったようだが。
この封筒、切手が貼ってない。
つまり、郵便局を通さず、直接学生寮のポストに投函されたのだ。
だから差出人は、学院内の誰か、ってことになる。
一体この学院の何処の誰が、僕に手紙を?
…まずは、封を開けてみなければ始まらないか。
僕は、封筒の中身を開けた。
便箋は、入っていなかった。
代わりに、僕を一瞬で戦慄させるものが入っていた。
「…!!」
…これは…。


