神殺しのクロノスタシス3

…もう、何度も言ったことだが。

一定量以上の魔力を持つ俺達魔導師は、食事を摂る必要がない。

が、食事に何の意味もない訳ではない。

嗜好品としても充分役目を果たしているし、好きなものを食べれば気分だって良くなるだろう。

シルナが、その良い例。

それに、先日のナジュみたいに、身体が弱っていたり、怪我をしたとき。

魔力による、自然治癒だけに任せるより。

ちゃんと栄養のある食事をした方が、治りも早い。

また、俺達教師陣は身体が成長しているので、特に食事の必要はないが。

令月やすぐりみたいな、成長期の子供の場合。

一定量以上の魔力があるから、と一切食事せずに育つと。

ちゃんと食事をして育った子供より、成長が遅れるor成長が止まるというデータがある。

故に、一定量以上の魔力を持つ子供達を預かっている、我らがイーニシュフェルト魔導学院にも、生徒の為に食堂があり。
 
魔力を持たない一般人と同じく、一日三食の食事を食べさせるように徹底している。

やっぱり子供に栄養は必要、ってね。

その証拠に。

一方、魔力があって、食事しなくても死なないからと言って、ほとんど食べ物を与えられずにここまで育った、元『アメノミコト』暗殺者組の令月とすぐりは。

同年代の生徒に比べて、やや成長が遅い。

令月もすぐりも、同級生に比べると小柄だ。

暗殺者としては、図体のデカい大人より、身軽で小柄な方が何かと「役に立つ」からかもしれないが。

糞ったれだ、そんな考え方は。

もりもり食べて、デカくなれば良いんだ。

…それはともかく。
 
何が言いたいのかというと。

食べなくても死なないが、食べても別に構わない。

そして。

魔力量如何に関わらず。

食べたものは、ちゃんと血肉になるってことだ。

魔導師も、一般人も等しく、な。

その事実を、今になって改めて思い知らされた、憐れな魔導師がここにいる。

その名も、イーニシュフェルト魔導学院学院長、シルナ・エインリー。

「ふ、ふと…ふと…?」

「えぇ。何だか一回り大きくなってません?…腰回りが」

「…!!」

イレース、相変わらず容赦がねぇ。

しかし、よく見てみると…確かに…。

…うん。

「し…しっ、し、失礼でしょう、そんな!お、女の子に太った?なんて聞くの!」

テンパっておかしなこと言ってるが、お前は紛れもなく男だ。

「だから言うのやめようとしたら、あなたが言えって言ったんじゃないですか」

ド正論。