「ひっ!イレースちゃん!」
もう、イレースの姿を見るだけでビビるようになったのか。
イレースを見るなり、びくっとして、シルナは俺の背中に隠れた。
俺を盾にするな。俺を。
何だ。また疾しいことでもあるのか?
しかし今日のイレースは、先日のような鬼神になってはいない。
通常モードだ。
「何ですか。人を猛獣みたいに」
猛獣どころか、お前地獄の獄吏みたいになってたからな。
シルナがビビるのも仕方ない。
基本的に、シルナは根がビビりチキンだからな。
「は、羽久が私に失礼なこと、考えてる気がするけど、今はそれどころじゃない…」
そうか。
「で、学院長」
「ひっ!わ、わ、私何も悪いことしてないよ!今日は!生徒が授業中の間に、学院長室でこっそりお菓子食べたり、こっそりお昼寝したりなんかしてないから!」
お前は地雷を踏み、墓穴を自分で掘るのが趣味なのか?
いちいち言うなよ、そんなことを。
「…そんなことしてたんですか?」
鬼のイレースの目が、ぎろりと光り。
シルナは、またひっ!とか言って、俺の背中にへばりついた。
邪魔。
「…まぁ良いです。それくらいはいつものことですから」
…だな。
ラミッドフルス基準で考えたら、断固許されることではなかっただろうが。
一応これでもイレースは、イーニシュフェルト魔導学院に来て、丸くなったのだ。
え、これで?と思った奴。
ラミッドフルス時代のイレースの生徒に聞いてみろ。
今のイレースがこんなに丸くなったと言ったら、きっとそいつの目も、驚きのあまり真ん丸になるだろうから。
それくらい、甘くなった。
故に、日中のお菓子摘み食いや、ちょっとの昼寝くらいは、許されるようになった。
とはいえ、生徒側からしたら、理不尽だよな。
うちは、学院長がこんな奴だって知られてるから、特に異論は出てこないが。
普通、生徒が真面目に授業受けてるときに、学院長が部屋でボリボリ菓子食ったり、ぐーぐー寝てたりしてると知ったら。
絶対腹立つよな。
貴様、俺らが眠いの我慢して授業受けてるのに!って。
イーニシュフェルト魔導学院の生徒は、優しいからな。
笑って見過ごしてくれるんだよ。良い子達だな。
…それで。
「今日は何の用なんだ?イレース」
用があるなら、早いところ終わらせてくれ。
シルナがお前にビビりまくって、俺の背中から離れないんだよ。
超邪魔。
「別に大した用事じゃありませんよ。これ、あなたのサインが必要な書類なので、内容を読んでから署名してください」
イレースは、紙切れを数枚、こちらに手渡した。
あぁ、いつもの奴ね。
学院経営ってのは、これがまた面倒臭くてな。
色んな小難しい機関から、色んな小難しい書類が、毎日送られてくるもんで。
その中には、いちいちシルナがサインして、送り返さなければならないものも多々ある。
よって、学院に届く一切の郵便物を管理しているイレースが。
ほぼ毎日のように、こうしてシルナの署名が必要な書類を、持ってきてくれるのである。
ありがとうイレース。
「そ、そっかっ…。良かった…」
疚しいことを咎められるのではない、と分かったらしいシルナ。
ようやく俺の背中から離れて、イレースの差し出した書類を受け取り。
一枚ずつ、内容を流し読みしながら署名。
している様を、じーっと見ていたイレース。
…?
かと思えば、テーブルの上の、お得用訳ありチョコレート菓子の詰め合わせを、ちらりと一瞥。
またあんなもの買って、と怒るのかと思ったが。
今日は、そうではなかった。
「イレースちゃん、はいっ。終わったよ」
「どうも」
署名された書類を受け取るイレース。
いつもなら、用事が済めば、さっさと出ていくはずだが。
今日は、しばしその場に突っ立っていた。
…何だ?
「…??どうかしたの、イレースちゃん…」
「…いえ、今ふと思ったんですが…」
「…何を?」
「…あ、いえ、やっぱりやめておきます」
おい。何だそれは。
一番気になる感じの去り方。
「ちょ、気になるじゃない。何?教えてよ」
すると。
「ぶふっ」
恐らくイレースの心を読んだのであろうナジュが、半笑いで噴き出していた。
絶対何かある。
「何、何二人共!?私に何かあるの?ねぇ、何なの?隠し事やめてよ〜!気になるじゃない!」
俺も気になる。
令月は、特に興味なさそうだったが。
すると。
「…分かりました。じゃあ、言わせてもらいますね」
と、イレース。
あぁ、そうしてくれ。
「…学院長先生、あなた、最近ちょっと太ったんじゃありません?」
…ナジュが。
噴き出した気持ちが、ちょっと分かった。
もう、イレースの姿を見るだけでビビるようになったのか。
イレースを見るなり、びくっとして、シルナは俺の背中に隠れた。
俺を盾にするな。俺を。
何だ。また疾しいことでもあるのか?
しかし今日のイレースは、先日のような鬼神になってはいない。
通常モードだ。
「何ですか。人を猛獣みたいに」
猛獣どころか、お前地獄の獄吏みたいになってたからな。
シルナがビビるのも仕方ない。
基本的に、シルナは根がビビりチキンだからな。
「は、羽久が私に失礼なこと、考えてる気がするけど、今はそれどころじゃない…」
そうか。
「で、学院長」
「ひっ!わ、わ、私何も悪いことしてないよ!今日は!生徒が授業中の間に、学院長室でこっそりお菓子食べたり、こっそりお昼寝したりなんかしてないから!」
お前は地雷を踏み、墓穴を自分で掘るのが趣味なのか?
いちいち言うなよ、そんなことを。
「…そんなことしてたんですか?」
鬼のイレースの目が、ぎろりと光り。
シルナは、またひっ!とか言って、俺の背中にへばりついた。
邪魔。
「…まぁ良いです。それくらいはいつものことですから」
…だな。
ラミッドフルス基準で考えたら、断固許されることではなかっただろうが。
一応これでもイレースは、イーニシュフェルト魔導学院に来て、丸くなったのだ。
え、これで?と思った奴。
ラミッドフルス時代のイレースの生徒に聞いてみろ。
今のイレースがこんなに丸くなったと言ったら、きっとそいつの目も、驚きのあまり真ん丸になるだろうから。
それくらい、甘くなった。
故に、日中のお菓子摘み食いや、ちょっとの昼寝くらいは、許されるようになった。
とはいえ、生徒側からしたら、理不尽だよな。
うちは、学院長がこんな奴だって知られてるから、特に異論は出てこないが。
普通、生徒が真面目に授業受けてるときに、学院長が部屋でボリボリ菓子食ったり、ぐーぐー寝てたりしてると知ったら。
絶対腹立つよな。
貴様、俺らが眠いの我慢して授業受けてるのに!って。
イーニシュフェルト魔導学院の生徒は、優しいからな。
笑って見過ごしてくれるんだよ。良い子達だな。
…それで。
「今日は何の用なんだ?イレース」
用があるなら、早いところ終わらせてくれ。
シルナがお前にビビりまくって、俺の背中から離れないんだよ。
超邪魔。
「別に大した用事じゃありませんよ。これ、あなたのサインが必要な書類なので、内容を読んでから署名してください」
イレースは、紙切れを数枚、こちらに手渡した。
あぁ、いつもの奴ね。
学院経営ってのは、これがまた面倒臭くてな。
色んな小難しい機関から、色んな小難しい書類が、毎日送られてくるもんで。
その中には、いちいちシルナがサインして、送り返さなければならないものも多々ある。
よって、学院に届く一切の郵便物を管理しているイレースが。
ほぼ毎日のように、こうしてシルナの署名が必要な書類を、持ってきてくれるのである。
ありがとうイレース。
「そ、そっかっ…。良かった…」
疚しいことを咎められるのではない、と分かったらしいシルナ。
ようやく俺の背中から離れて、イレースの差し出した書類を受け取り。
一枚ずつ、内容を流し読みしながら署名。
している様を、じーっと見ていたイレース。
…?
かと思えば、テーブルの上の、お得用訳ありチョコレート菓子の詰め合わせを、ちらりと一瞥。
またあんなもの買って、と怒るのかと思ったが。
今日は、そうではなかった。
「イレースちゃん、はいっ。終わったよ」
「どうも」
署名された書類を受け取るイレース。
いつもなら、用事が済めば、さっさと出ていくはずだが。
今日は、しばしその場に突っ立っていた。
…何だ?
「…??どうかしたの、イレースちゃん…」
「…いえ、今ふと思ったんですが…」
「…何を?」
「…あ、いえ、やっぱりやめておきます」
おい。何だそれは。
一番気になる感じの去り方。
「ちょ、気になるじゃない。何?教えてよ」
すると。
「ぶふっ」
恐らくイレースの心を読んだのであろうナジュが、半笑いで噴き出していた。
絶対何かある。
「何、何二人共!?私に何かあるの?ねぇ、何なの?隠し事やめてよ〜!気になるじゃない!」
俺も気になる。
令月は、特に興味なさそうだったが。
すると。
「…分かりました。じゃあ、言わせてもらいますね」
と、イレース。
あぁ、そうしてくれ。
「…学院長先生、あなた、最近ちょっと太ったんじゃありません?」
…ナジュが。
噴き出した気持ちが、ちょっと分かった。


