神殺しのクロノスタシス3

…何用だ?

今、絶賛修羅場続行中で…と思ったが。

生徒達は、先程この部屋で何があったのかなんて、全く知らないので仕方ない。
 
そして、知らないのは幸せなことだ。

先程の修羅場を生徒に見られたら、一生モノのトラウマになるところだった。

「ど…どうしたの君達…?」

半泣きのシルナが、生徒達に振り返った。

「これ、調理室で作ったマフィン、お裾分けです!」

え?

生徒の一人が、可愛くラッピングされたマフィンを差し出した。

「これ…」

「この間、アルファフォーレスって珍しいお菓子もらったでしょう?」

「あれ、とっても美味しかったので、そのお礼です!」

「…!」

シルナの目に、生気が宿った。
 
「まぁ、私達が作ったのはマフィンなんで、全然珍しくないんですけどねー」

「そ…そんなことないよ!」

自嘲して笑う生徒に、シルナは慌てて否定。

マフィンだろうがアルファフォーレスだろうが。

生徒からの贈り物、しかもそれが手作りとなれば。

喜ばない訳がない。

「ありがとう、君達…!君達のお陰で私は救われた…。命の恩人だよ!」

ついさっきまでへこみまくっていたシルナも、この歓喜の表情。

「…??よ、よく分かんないけど…喜んでもらえて良かったです」

事情を知らない生徒は、首を傾げながらも、一応受け取ってもらえたので。

そのまま、それではまた明日授業で、と帰っていった。

で、一方のシルナは。

「マフィン!マフィンもらったよ羽久!やったー!」

「…」

さっきまで怒られていたのが嘘のように、喜びまくっていた。  

…イレース。
 
何度叱っても、駄目そうだぞ。  

「…はぁ…」
 
そんなシルナを見て、イレースは深々と溜息をついた。

お疲れさん。