そして、もう一人の生徒が誰かと言うと。
「…お邪魔しますね」
学生寮の、とある一室をノックし。
その扉を開けると。
「…!ナジュ…先生」
「お久し振りです」
ユイト・ランドルフ。
僕の、去年のルームメイトである。
彼にも、挨拶しておかなければならないと思ったもので。
放課後を狙って、訪ねてきた。
ちなみに、令月さんは気を利かせて退室してもらっている。
今頃学院長室で、学院長のお菓子のおこぼれに預かっていることだろう。
「どうして…わざわざ会いに…」
心外だなぁ。
僕、そこまで薄情だと思われてたか?
まぁ、去年君を裏切ったのは、他でもない僕ですからね。
「令月さんから聞きました。僕のこと、多少なりとも…心配してくれてたそうで」
「…」
「…あと、何となく事情を察しながら、他の生徒の皆さんには黙ってくれてたそうですね」
「それは…」
僕としても、非常に有り難い気遣いだった。
下手に変な噂を広められていたら、僕の帰る場所がなくなってるところだったから。
「ありがとうございます。お陰で助かりました」
「…そんなこと、どうでも良いです」
「…ですよね」
彼の、心を読めば分かる。
「心配…してたんですよ、ずっと…。あなたは…いつも、誰にも言わずに背負い込むから…」
「そうですね。そこのところ、羽久さんにも怒られました」
何なら腹パン食らいました。
痛かったです。はい。
「でも…無事に帰ってきてくれて、良かった」
「はい」
「…もう勝手に、一人で、何処にも行かないでください」
「…はい」
ユイト・ランドルフの心を読んで分かった。
僕は僕が思ってる以上に、他の人から大事に思われている。
『殺戮の堕天使』の癖に。本当済みませんね。
僕はきっと、これからはもっと…、
「…ちゃんと自分のこと、大事にしてください」
「…分かりました」
…言おうと思ってたこと、先に言われてしまった。
ちょっと悔しかった。
でも。
自分に、絶対守りたい大事な存在がいるように。
他の人にも、絶対守りたい大事な存在がいて。
そんな存在に、他でもない自分がなれるということは。
これほどに光栄なことなのだと、僕は初めて知った。
…これほどに嬉しいことなのだと、初めて知った。
「…お邪魔しますね」
学生寮の、とある一室をノックし。
その扉を開けると。
「…!ナジュ…先生」
「お久し振りです」
ユイト・ランドルフ。
僕の、去年のルームメイトである。
彼にも、挨拶しておかなければならないと思ったもので。
放課後を狙って、訪ねてきた。
ちなみに、令月さんは気を利かせて退室してもらっている。
今頃学院長室で、学院長のお菓子のおこぼれに預かっていることだろう。
「どうして…わざわざ会いに…」
心外だなぁ。
僕、そこまで薄情だと思われてたか?
まぁ、去年君を裏切ったのは、他でもない僕ですからね。
「令月さんから聞きました。僕のこと、多少なりとも…心配してくれてたそうで」
「…」
「…あと、何となく事情を察しながら、他の生徒の皆さんには黙ってくれてたそうですね」
「それは…」
僕としても、非常に有り難い気遣いだった。
下手に変な噂を広められていたら、僕の帰る場所がなくなってるところだったから。
「ありがとうございます。お陰で助かりました」
「…そんなこと、どうでも良いです」
「…ですよね」
彼の、心を読めば分かる。
「心配…してたんですよ、ずっと…。あなたは…いつも、誰にも言わずに背負い込むから…」
「そうですね。そこのところ、羽久さんにも怒られました」
何なら腹パン食らいました。
痛かったです。はい。
「でも…無事に帰ってきてくれて、良かった」
「はい」
「…もう勝手に、一人で、何処にも行かないでください」
「…はい」
ユイト・ランドルフの心を読んで分かった。
僕は僕が思ってる以上に、他の人から大事に思われている。
『殺戮の堕天使』の癖に。本当済みませんね。
僕はきっと、これからはもっと…、
「…ちゃんと自分のこと、大事にしてください」
「…分かりました」
…言おうと思ってたこと、先に言われてしまった。
ちょっと悔しかった。
でも。
自分に、絶対守りたい大事な存在がいるように。
他の人にも、絶対守りたい大事な存在がいて。
そんな存在に、他でもない自分がなれるということは。
これほどに光栄なことなのだと、僕は初めて知った。
…これほどに嬉しいことなのだと、初めて知った。


