シルナのアホっぷりは、まぁ放っとくとして。
「ま、まぁまぁ、思い出すか思い出さないかは置いといて、折角用意したんだから食べようよ〜」
との、シルナの言葉により。
俺達は席に着き、シルナの用意した紅茶菓子ラインナップを口にしていた。
部屋の中、紅茶くせぇ…。
決して悪い匂いではないのだが、ずっとここにいたら、鼻が紅茶色に染まりそう。
「前もねー、こうして一緒におやつ食べたんだよ」
隙あらば、ではないが。
ナジュに、思い出話を聞かせるシルナ。
確かに、効果的かもしれない。
ナジュ自身、この場所に懐かしさを感じると言ってたし。
ここでこうして、昔みたいに菓子食べてたら。
何か思い出すこともあるかも。
「ナジュ君ってば、いっつも私の隠したお菓子を何処からか探し出して、摘み食いするんだから…」
「そうなんですか?」
「そうだよ。だから私は、こまめに隠し場所を変えて…。昨日も新しい隠し場所に隠し直したんだ」
何をやってんだ、お前は。
するとナジュは、部屋の中をぐるりと見渡し。
「…そこの、ソファの下の隙間」
「ふぁっ!?」
「何か隠してますよね。チョコレートか何か…」
「嘘でしょ!?ナジュ君、君本当に記憶なくしてる!?何でバレるの!?」
…隠し場所が、安易だからじゃないか?
ソファの下に食べ物を置くな。
「ぐぬぬ…。記憶がなくても、やっぱりナジュ君はナジュ君なんだね。嬉しいやら悲しいやら…」
そこは喜んどけよ。
「…あの」
戸惑った顔のナジュが、口を開いた。
「どうかした?ナジュ君」
「僕がここの…イーニシュフェルト魔導学院の教師をやってたって聞かされて…」
「うん」
「凄く驚いて…。そんなはずないと思ったんですけど、でもあなた達の心を覗いても、校舎内の色んな場所を見ても、あなた達を見ても、何処か懐かしくて…。自分の居場所みたいな気がして…」
「君の居場所だからね、実際」
確かに。
「…でも、きっと…最初からそうだった訳じゃないですよね?」
「…」
「何らかの経緯があって、僕は…ここに流れ着いたんですよね?」
…流れ着いた…か。
シルナじゃないが。
本当に記憶喪失なのかと疑いたくなるほど、正確な例えだな。
その通りだ。
ナジュは、俺やシルナみたいに、元からイーニシュフェルト魔導学院にいた訳じゃない。
長い長い放浪の果てに、ここに流れ着いたのだ。
「さっき、そこのイレースさん…が、僕は生徒としてここにやって来た…みたいなこと言ってて」
「…言いましたね」
「僕は何がしたかったんですか?生徒として入学して、何で教師をやってるんですか?そもそも僕は学校に通う必要はなかったはず。それなのにどうして、生徒として入学したんですか?」
「…」
…やっぱり。
そこを話さないことには、何も思い出せないか。
出来れば、話したくなかったんだけどな。
「…シルナ」
「…そうだね」
でも、話さなければいけない。
清濁を合わせ呑み。
ナジュの過去の、暗い部分も明るい部分も、全て合わせて。
ルーチェス・ナジュ・アンブローシアという一人の人間が、ここにいるのだから。
「ちょっと…長い話になるけど、聞いてね」
「…はい」
意識を取り戻したばかりのナジュに、辛い思いをさせたくはない。
それは俺達の本意ではない。
しかし、そうしなければ思い出せないのなら。
話すしかないだろう。
ナジュが、どうしてイーニシュフェルト魔導学院にやって来たのか、その経緯を。
「ま、まぁまぁ、思い出すか思い出さないかは置いといて、折角用意したんだから食べようよ〜」
との、シルナの言葉により。
俺達は席に着き、シルナの用意した紅茶菓子ラインナップを口にしていた。
部屋の中、紅茶くせぇ…。
決して悪い匂いではないのだが、ずっとここにいたら、鼻が紅茶色に染まりそう。
「前もねー、こうして一緒におやつ食べたんだよ」
隙あらば、ではないが。
ナジュに、思い出話を聞かせるシルナ。
確かに、効果的かもしれない。
ナジュ自身、この場所に懐かしさを感じると言ってたし。
ここでこうして、昔みたいに菓子食べてたら。
何か思い出すこともあるかも。
「ナジュ君ってば、いっつも私の隠したお菓子を何処からか探し出して、摘み食いするんだから…」
「そうなんですか?」
「そうだよ。だから私は、こまめに隠し場所を変えて…。昨日も新しい隠し場所に隠し直したんだ」
何をやってんだ、お前は。
するとナジュは、部屋の中をぐるりと見渡し。
「…そこの、ソファの下の隙間」
「ふぁっ!?」
「何か隠してますよね。チョコレートか何か…」
「嘘でしょ!?ナジュ君、君本当に記憶なくしてる!?何でバレるの!?」
…隠し場所が、安易だからじゃないか?
ソファの下に食べ物を置くな。
「ぐぬぬ…。記憶がなくても、やっぱりナジュ君はナジュ君なんだね。嬉しいやら悲しいやら…」
そこは喜んどけよ。
「…あの」
戸惑った顔のナジュが、口を開いた。
「どうかした?ナジュ君」
「僕がここの…イーニシュフェルト魔導学院の教師をやってたって聞かされて…」
「うん」
「凄く驚いて…。そんなはずないと思ったんですけど、でもあなた達の心を覗いても、校舎内の色んな場所を見ても、あなた達を見ても、何処か懐かしくて…。自分の居場所みたいな気がして…」
「君の居場所だからね、実際」
確かに。
「…でも、きっと…最初からそうだった訳じゃないですよね?」
「…」
「何らかの経緯があって、僕は…ここに流れ着いたんですよね?」
…流れ着いた…か。
シルナじゃないが。
本当に記憶喪失なのかと疑いたくなるほど、正確な例えだな。
その通りだ。
ナジュは、俺やシルナみたいに、元からイーニシュフェルト魔導学院にいた訳じゃない。
長い長い放浪の果てに、ここに流れ着いたのだ。
「さっき、そこのイレースさん…が、僕は生徒としてここにやって来た…みたいなこと言ってて」
「…言いましたね」
「僕は何がしたかったんですか?生徒として入学して、何で教師をやってるんですか?そもそも僕は学校に通う必要はなかったはず。それなのにどうして、生徒として入学したんですか?」
「…」
…やっぱり。
そこを話さないことには、何も思い出せないか。
出来れば、話したくなかったんだけどな。
「…シルナ」
「…そうだね」
でも、話さなければいけない。
清濁を合わせ呑み。
ナジュの過去の、暗い部分も明るい部分も、全て合わせて。
ルーチェス・ナジュ・アンブローシアという一人の人間が、ここにいるのだから。
「ちょっと…長い話になるけど、聞いてね」
「…はい」
意識を取り戻したばかりのナジュに、辛い思いをさせたくはない。
それは俺達の本意ではない。
しかし、そうしなければ思い出せないのなら。
話すしかないだろう。
ナジュが、どうしてイーニシュフェルト魔導学院にやって来たのか、その経緯を。


