「…こうなるんじゃないかって可能性を、考えなかった訳じゃないんだ」
…医務室を出て。
目覚めたばかりのナジュを、クュルナに任せ。
俺達は、学院長室に集まっていた。
折角、ナジュが目を覚ましたのだ。
本来なら、俺達は拍手喝采で喜んでいなきゃならない。
それなのに。
俺達は、喜びとはかけ離れたところにいた。
確かに、ナジュに戻ってきて欲しかった。
だから、ようやく意識を取り戻した彼に、俺達は喜ぶべきなのだろう。
でも。
こんな形で、戻ってきて欲しかった訳じゃない…。
贅沢な悩みだってことは分かってる。
意識を取り戻したんだから、それで良いじゃないかとも思う。
それだけで充分じゃないか、と。
だけど、でも…。
こんな…こんな残酷な形で…。
そこに天音が、ポツリと呟いた。
「元々彼は、脳に深刻なダメージを負って意識を失った。だから…もし目を覚ましたとしても、何らかの後遺症が残っているんじゃないかって…。考えなかった訳じゃない」
「…」
「あれ以上皆を不安にさせたくなかったから、言わなかったけど…」
「…そうか」
天音は悪くない。
俺達の考えが、甘かったのだ。
意識さえ取り戻せば、もとのナジュが帰ってくると、勝手に信じ込んでいた。
キャパオーバーでパンクした彼の脳が、深刻なダメージを負っていることは分かってたのに。
確かに俺達は、ナジュに帰ってきて欲しかった。
でも俺達が求めていたのは、俺達の知る、俺達の記憶にあるナジュだった。
俺達のことを忘れてしまった、空っぽのナジュじゃない…。
「…私達の取れる選択肢は、二つある」
と、シルナが言った。
「選択肢…?」
「そう。一つは…諦めて、新しいナジュ君と、新しく絆を育むこと」
…そうか。
そうだよな。
あいつが、俺達のこと忘れてしまったんだったら。
もう一回、最初からやり直せば良い。
今までのことを忘れてしまったから、何だ。
これからまた、一からやり直せば良い。
ナジュはナジュなんだから。
これから何年でもかけて、またあいつと仲間になれば良い。
それが正しいのかもしれない。
目を覚ましてくれたのだから、それだけで満足して、また仲良くなれば良い…。
「…じゃあ、もう一つの選択肢は何?」
令月が尋ねた。
「もう一つは…」
もう一つの選択肢は。
ナジュの記憶がないと分かってから、誰もが望んだことだ。
「…思い出してもらう。私達でまた、ありとあらゆる手段を考えて…。ナジュ君に、私達のことを思い出してもらおう」
…。
「…皆、どっちが良い?どちらの選択肢を選ぶ?」
…馬鹿だな。
「分かりきったことを、いちいち聞くなよ」
ナジュが目を覚ますまで、ありとあらゆる手段を尽くして、頑張ってきたのだ。
何で。
何で今更、彼の記憶を取り戻す為に、ありとあらゆる努力をすることを躊躇うだろうか。
これが、この場にいる全員の総意だった。
…医務室を出て。
目覚めたばかりのナジュを、クュルナに任せ。
俺達は、学院長室に集まっていた。
折角、ナジュが目を覚ましたのだ。
本来なら、俺達は拍手喝采で喜んでいなきゃならない。
それなのに。
俺達は、喜びとはかけ離れたところにいた。
確かに、ナジュに戻ってきて欲しかった。
だから、ようやく意識を取り戻した彼に、俺達は喜ぶべきなのだろう。
でも。
こんな形で、戻ってきて欲しかった訳じゃない…。
贅沢な悩みだってことは分かってる。
意識を取り戻したんだから、それで良いじゃないかとも思う。
それだけで充分じゃないか、と。
だけど、でも…。
こんな…こんな残酷な形で…。
そこに天音が、ポツリと呟いた。
「元々彼は、脳に深刻なダメージを負って意識を失った。だから…もし目を覚ましたとしても、何らかの後遺症が残っているんじゃないかって…。考えなかった訳じゃない」
「…」
「あれ以上皆を不安にさせたくなかったから、言わなかったけど…」
「…そうか」
天音は悪くない。
俺達の考えが、甘かったのだ。
意識さえ取り戻せば、もとのナジュが帰ってくると、勝手に信じ込んでいた。
キャパオーバーでパンクした彼の脳が、深刻なダメージを負っていることは分かってたのに。
確かに俺達は、ナジュに帰ってきて欲しかった。
でも俺達が求めていたのは、俺達の知る、俺達の記憶にあるナジュだった。
俺達のことを忘れてしまった、空っぽのナジュじゃない…。
「…私達の取れる選択肢は、二つある」
と、シルナが言った。
「選択肢…?」
「そう。一つは…諦めて、新しいナジュ君と、新しく絆を育むこと」
…そうか。
そうだよな。
あいつが、俺達のこと忘れてしまったんだったら。
もう一回、最初からやり直せば良い。
今までのことを忘れてしまったから、何だ。
これからまた、一からやり直せば良い。
ナジュはナジュなんだから。
これから何年でもかけて、またあいつと仲間になれば良い。
それが正しいのかもしれない。
目を覚ましてくれたのだから、それだけで満足して、また仲良くなれば良い…。
「…じゃあ、もう一つの選択肢は何?」
令月が尋ねた。
「もう一つは…」
もう一つの選択肢は。
ナジュの記憶がないと分かってから、誰もが望んだことだ。
「…思い出してもらう。私達でまた、ありとあらゆる手段を考えて…。ナジュ君に、私達のことを思い出してもらおう」
…。
「…皆、どっちが良い?どちらの選択肢を選ぶ?」
…馬鹿だな。
「分かりきったことを、いちいち聞くなよ」
ナジュが目を覚ますまで、ありとあらゆる手段を尽くして、頑張ってきたのだ。
何で。
何で今更、彼の記憶を取り戻す為に、ありとあらゆる努力をすることを躊躇うだろうか。
これが、この場にいる全員の総意だった。


