「それは…どういう意味かな?」
「『アメノミコト』は、君達が思ってるほど悠長じゃないよ」
何?
「今、この瞬間に、窓を破って暗殺者が入ってきてもおかしくない。今この瞬間、学生寮に暗殺者が忍び込んでてもおかしくない」
「!?」
「即断即決即行動。あの頭領なら、もう既に動いてるはずだよ。安心出来る瞬間なんて、もう一秒だってない。いつ来てもおかしくない。もう入り込んでてもおかしくない」
…。
…そこまで、手が早いとは。
こちらに、対策する隙を与えないという訳か。
俺達も、悠長にしてたつもりはなかったんだが…。
敵は、それ以上に早いらしい。
「特に春は、人の出入りが多いし…。もしかしたら、今年の入学生の中に潜んでるかも…」
「あ、それは大丈夫です」
と、ナジュ。
「イレースさんから頼まれたんですよ。去年、新入学生の振りをして、学院に忍び込んだ不届き者がいたそうで」
誰だろうな。その不届き者は。
成敗してやらないといけないな。
「今年はそれがないように、一人ずつ観察させて頂きました。今年の生徒は、全員シロです」
去年クロがいたのがおかしいんだよ。
全く不届き者だ。
「ですよねー。僕もそう思います」
「お前だ、お前」
何しらばっくれてんだ。
「じゃあ、生徒の振りをして潜入…という線は、ないと思って良いかな」
「…それでも、絶対とは言い切れないけどね」
と、不安顔の令月。
…そこまで…。
「…そんなに不安か?令月」
「…羽久…」
「そんなに心配するな。こちとら、百戦錬磨の精鋭が揃ってるんだ。昨日今日、魔導師やり始めた訳じゃない」
自意識過剰か、と言われるかもしれないが。
シルナは勿論、そのシルナと一緒に、俺も少なくない時間を共にしてきた。
その間に、様々な修羅場を潜り抜けてきた。
何なら、神様とだって戦ったことがあるのに。
それに比べりゃ、『アメノミコト』なんて可愛いもんだ。
そして、俺とシルナだけじゃない。
元ラミッドフルスの鬼教官イレース。彼女の実力も、伊達に鬼教官と呼ばれていた訳ではない。
あらゆる魔法を使いこなす、汎用性の高い、しかも洗練された魔導師だ。
常に冷静沈着で、不測の事態が起きたとしても、咄嗟の判断力がある。
それから、ナジュ。
こいつに関しては、もう言うまでもない。
常に相手が何を考えているか分かるという、チートじみた魔法の使い手であると同時に。
不死身という、最強スキル持ちだ。
それに、今回は天音もいる。
天音の回復魔法の精度は、シルナのそれに匹敵すると言っても過言ではない。
おまけに、回復魔法だけでなく、光魔法にも長けている。
潜在魔力量の多さもあって、長期戦にも向いている。
これだけ、粒揃いの教員をかき集めたのだ。
例え相手がどう攻めてきても、恐れるに値しない。
お前には、最強の味方がついてるのだ。
何を、そんなに怖がる必要がある。
「…皆の実力は知ってる。先日の襲撃のときに、垣間見せてもらったから」
「だったら、何がそんなに不安なんだ?」
「味方のことが頼りないからじゃない。敵のことが分からないから」
…何?
「お前の古巣じゃないのか。『アメノミコト』は…」
「そうだね。でも、僕はほとんど知らないんだ。他の暗殺者のことを」
「…!」
そういうことか。
令月の不安の意味が、ようやく分かった。
「『アメノミコト』は、君達が思ってるほど悠長じゃないよ」
何?
「今、この瞬間に、窓を破って暗殺者が入ってきてもおかしくない。今この瞬間、学生寮に暗殺者が忍び込んでてもおかしくない」
「!?」
「即断即決即行動。あの頭領なら、もう既に動いてるはずだよ。安心出来る瞬間なんて、もう一秒だってない。いつ来てもおかしくない。もう入り込んでてもおかしくない」
…。
…そこまで、手が早いとは。
こちらに、対策する隙を与えないという訳か。
俺達も、悠長にしてたつもりはなかったんだが…。
敵は、それ以上に早いらしい。
「特に春は、人の出入りが多いし…。もしかしたら、今年の入学生の中に潜んでるかも…」
「あ、それは大丈夫です」
と、ナジュ。
「イレースさんから頼まれたんですよ。去年、新入学生の振りをして、学院に忍び込んだ不届き者がいたそうで」
誰だろうな。その不届き者は。
成敗してやらないといけないな。
「今年はそれがないように、一人ずつ観察させて頂きました。今年の生徒は、全員シロです」
去年クロがいたのがおかしいんだよ。
全く不届き者だ。
「ですよねー。僕もそう思います」
「お前だ、お前」
何しらばっくれてんだ。
「じゃあ、生徒の振りをして潜入…という線は、ないと思って良いかな」
「…それでも、絶対とは言い切れないけどね」
と、不安顔の令月。
…そこまで…。
「…そんなに不安か?令月」
「…羽久…」
「そんなに心配するな。こちとら、百戦錬磨の精鋭が揃ってるんだ。昨日今日、魔導師やり始めた訳じゃない」
自意識過剰か、と言われるかもしれないが。
シルナは勿論、そのシルナと一緒に、俺も少なくない時間を共にしてきた。
その間に、様々な修羅場を潜り抜けてきた。
何なら、神様とだって戦ったことがあるのに。
それに比べりゃ、『アメノミコト』なんて可愛いもんだ。
そして、俺とシルナだけじゃない。
元ラミッドフルスの鬼教官イレース。彼女の実力も、伊達に鬼教官と呼ばれていた訳ではない。
あらゆる魔法を使いこなす、汎用性の高い、しかも洗練された魔導師だ。
常に冷静沈着で、不測の事態が起きたとしても、咄嗟の判断力がある。
それから、ナジュ。
こいつに関しては、もう言うまでもない。
常に相手が何を考えているか分かるという、チートじみた魔法の使い手であると同時に。
不死身という、最強スキル持ちだ。
それに、今回は天音もいる。
天音の回復魔法の精度は、シルナのそれに匹敵すると言っても過言ではない。
おまけに、回復魔法だけでなく、光魔法にも長けている。
潜在魔力量の多さもあって、長期戦にも向いている。
これだけ、粒揃いの教員をかき集めたのだ。
例え相手がどう攻めてきても、恐れるに値しない。
お前には、最強の味方がついてるのだ。
何を、そんなに怖がる必要がある。
「…皆の実力は知ってる。先日の襲撃のときに、垣間見せてもらったから」
「だったら、何がそんなに不安なんだ?」
「味方のことが頼りないからじゃない。敵のことが分からないから」
…何?
「お前の古巣じゃないのか。『アメノミコト』は…」
「そうだね。でも、僕はほとんど知らないんだ。他の暗殺者のことを」
「…!」
そういうことか。
令月の不安の意味が、ようやく分かった。


