神殺しのクロノスタシス3

…いきなり、何事かと思ったら。

「は、花…?」

「うん、紫陽花!」

あ、紫陽花…。

よく見ると、確かにそれは、青や紫色の、見事な紫陽花だった。

そーだね、今、季節だもんね。
  
更によく見ると、紫陽花を収穫していたときに付着したのだろう、

ツキナの頭のてっぺんに、カタツムリが一匹、乗っかっていた。  

住心地良さそうだね。

「どしたの、これ…」

「だって、すぐり君が落ち込んだ顔してるから」

「…」

…それは。

「お花を見たら、少しは元気が出るかな〜って!」

「…」

そーだね。

気持ちは嬉しいんだけど、前振りなしで顔面にぶつけてくるのは、よして欲しかったな。

普通に渡してよ。
 
可愛いなーもう。

「ナジュ先生いなくて寂しいけど、私達がへこんでちゃ駄目だよね。だって一番頑張ってるのは、ナジュ先生なんだもん」

ツキナは、自分に言い聞かせるように言った。

「だから私達は、ナジュ先生がいつ帰ってきても良いように、元気出して待ってよう!きゅうりもトマトもトウモロコシも、頑張って育てよう!」

「…」

「で、戻ってきたら一緒に食べてもらうの!ね?」

太陽のような、ツキナの笑顔。

…全く。  

敵わないなぁ、この子には。

「そーだね、楽しみだね」

「うん!」

…それから。

「…ツキナ」

「なぁに〜?」

「頭の上、カタツムリ乗ってる」

「えぇぇぇ〜!?取って!すぐり君取って〜!!」

一応指摘してみたら、案の定大騒ぎだった。

本当に、この子には敵わないよ。