――――――…その頃。
俺は、『八千代』の言うところの、ランデブーの真っ最中だった。
悪かったねー、薄情で。
でもこちとら、いつもの楽しいランデブーじゃないんだよ。
「…折角、植えた苗が育ってきたのにな〜…」
…ツキナは、じょうろを片手に、畑の中にしゃがんでいた。
非常に、浮かない顔。
「ナジュ先生にも見て欲しいな〜…」
「…」
「ナジュ先生、いつ戻ってくるんだろ?」
「さーね…」
…あんたのせいだよ、ナジュせんせー。
折角放課後に、好きな女の子と二人きりなのに。
ツキナはずっと寂しそうな顔で、部活にも身が入らない様子。
原因は、ただ一つ。
言うまでもなく。
ナジュせんせーが、いきなり、全く園芸部に…それどころか、授業にも出てこなくなってしまったからだ。
まさか、読心魔法の暴走で、人格破壊された可能性がある、なんて、一般の生徒には言えないので。
ナジュせんせーは、重い病気にかかって長期療養中、ってことになっている。
そのせいだ。
ツキナは、折角すくすく育ってきたきゅうりの苗を、ナジュせんせーに見てもらいたくて楽しみにしてたのに。
いきなり病気療養なんて言われたら、そりゃショックも受ける。
ツキナだけじゃない。
あの顔だけはイケメンな教師、主に女子生徒に莫大な人気を誇っていたのだが。
それが突然いなくなり、別の教師(シルナ・エインリーの分身だが)が、授業を担当することになり。
生徒達の落胆ぶりは、生徒歴の短い俺でも感じ取れるほど。
教室にいても、食堂にいても、学生寮にいても。
一日に一度以上は、必ず何処かで誰かが口にする。
「ナジュ先生、大丈夫かな。いつ戻ってくるのかな」って。
実際、ツキナもこうして、ナジュせんせーのこと気にしてるし。
『八千代』に聞いたところによると、ナジュせんせーが目を覚ます気配はおろか。
その兆候すら見られないとのこと。
…気が重くなる。
ナジュせんせーがあんなことになったのは、俺に責任の一端がある。
その自覚があるから、余計に。
…俺は、ナジュせんせーが読心魔法の訓練をしていることを知ってたのに。
俺だけが、そのことを知ってたのに。
止められなかった。気づけなかった。
学院長せんせーは、「すぐり君のせいじゃない」と言うけど。
何を言われたって、俺に責任の一端があるのは明白な事実。
気にするなと言われても、無理な話。
俺だって、そこまで薄情じゃないからね。
ナジュせんせーには、可及的速やかに、目を覚ましてもらわなきゃ困る訳だ。
…しかし…。
「はー…」
いつ目を覚ますのか、そもそも目を覚ますことは出来るのか…。
目を覚ましたとして、それはもとのナジュせんせーなのか…。
尽きない心配に、頭を悩ませていると。
「はい、見てすぐり君!」
「ぶふっ」
顔面に、いきなり何かを押し付けられた。
俺は、『八千代』の言うところの、ランデブーの真っ最中だった。
悪かったねー、薄情で。
でもこちとら、いつもの楽しいランデブーじゃないんだよ。
「…折角、植えた苗が育ってきたのにな〜…」
…ツキナは、じょうろを片手に、畑の中にしゃがんでいた。
非常に、浮かない顔。
「ナジュ先生にも見て欲しいな〜…」
「…」
「ナジュ先生、いつ戻ってくるんだろ?」
「さーね…」
…あんたのせいだよ、ナジュせんせー。
折角放課後に、好きな女の子と二人きりなのに。
ツキナはずっと寂しそうな顔で、部活にも身が入らない様子。
原因は、ただ一つ。
言うまでもなく。
ナジュせんせーが、いきなり、全く園芸部に…それどころか、授業にも出てこなくなってしまったからだ。
まさか、読心魔法の暴走で、人格破壊された可能性がある、なんて、一般の生徒には言えないので。
ナジュせんせーは、重い病気にかかって長期療養中、ってことになっている。
そのせいだ。
ツキナは、折角すくすく育ってきたきゅうりの苗を、ナジュせんせーに見てもらいたくて楽しみにしてたのに。
いきなり病気療養なんて言われたら、そりゃショックも受ける。
ツキナだけじゃない。
あの顔だけはイケメンな教師、主に女子生徒に莫大な人気を誇っていたのだが。
それが突然いなくなり、別の教師(シルナ・エインリーの分身だが)が、授業を担当することになり。
生徒達の落胆ぶりは、生徒歴の短い俺でも感じ取れるほど。
教室にいても、食堂にいても、学生寮にいても。
一日に一度以上は、必ず何処かで誰かが口にする。
「ナジュ先生、大丈夫かな。いつ戻ってくるのかな」って。
実際、ツキナもこうして、ナジュせんせーのこと気にしてるし。
『八千代』に聞いたところによると、ナジュせんせーが目を覚ます気配はおろか。
その兆候すら見られないとのこと。
…気が重くなる。
ナジュせんせーがあんなことになったのは、俺に責任の一端がある。
その自覚があるから、余計に。
…俺は、ナジュせんせーが読心魔法の訓練をしていることを知ってたのに。
俺だけが、そのことを知ってたのに。
止められなかった。気づけなかった。
学院長せんせーは、「すぐり君のせいじゃない」と言うけど。
何を言われたって、俺に責任の一端があるのは明白な事実。
気にするなと言われても、無理な話。
俺だって、そこまで薄情じゃないからね。
ナジュせんせーには、可及的速やかに、目を覚ましてもらわなきゃ困る訳だ。
…しかし…。
「はー…」
いつ目を覚ますのか、そもそも目を覚ますことは出来るのか…。
目を覚ましたとして、それはもとのナジュせんせーなのか…。
尽きない心配に、頭を悩ませていると。
「はい、見てすぐり君!」
「ぶふっ」
顔面に、いきなり何かを押し付けられた。


