神殺しのクロノスタシス3

――――――…すぐりが、何かを言いかけたそのとき。

固く閉じられていたナジュの目が、開いた。

「!!」

この場にいる誰もが、ナジュの顔を見た。

良かった。

死なないとは分かってるはずなのに、あまりにも死体みたいに見えて…。
 
でも、やっぱりナジュは不死身だった。

「ナジュ、良かった。お前、不死身とはいえ、いきなりあんなことになってるから、心配して…」

「…あんなことを、この子にさせたのは誰よ」

ナジュが、冷たい声でそう言った。

…え?

「ナジュ君…?だいじょ、」

シルナが、そっとナジュに手を伸ばそうとした。

すると。

ナジュはガバリと起き上がり、シルナの襟首を掴んだ。

な…にを、

「あんなことを、この子にさせたのは誰よ!!あなた達でしょ!」

「…!?」

殺してやろうかという、凄まじい剣幕で。

叫んでいるのは、ナジュではなかった。

身体はナジュのものだけど、中身は別人だった。

「君は…」

シルナも、それに気づいたようだが。

しかし、ナジュ(仮)は構わなかった。

「だから止めたのに!無理しないでって言ったのに!あなた達がナジュ君に無理させたんでしょ!」

ナジュ君…だって?

もしかして、この子は。

「いつもいつも、ナジュ君が死なないからって、肉の壁みたいに使って!便利だからって読心魔法を使わせて!ナジュ君は道具じゃない。あなた達の便利な道具じゃないのよ!」

涙を流していた。

ナジュの身体の中にいる、ナジュではないもう一人は。

涙を流しながら、俺達を罵っていた。

「ナジュ君が不死身じゃなかったら、何回死んだと思ってるの?死ななかったら、ナジュ君が死ぬほど痛い思いをしても、どうでも良いの?あと何回そんな痛みを味わわせるつもり?あと何回…ナジュ君を便利な盾代わりにするつもりなの?」

「…」

「読心魔法だって…。一回思うように使えなかったからって、役立たず呼ばわりなの?そんなことでナジュ君を見捨てるの?ナジュ君を何だと思ってるの?ナジュ君がどんな思いで、どんな思いでこんなことしたと思ってるのよ!?」

…こんなこと、だって?

じゃあこの子…彼女は、ナジュの身に何が起きたのか知って、

「君は…ナジュ君の中の…リリスちゃん、だね?」

「…」

ナジュ、改め。

『冥界の女王』リリスは、返事をする代わりに、俺達を強く睨み付けた。