「身体の中をいくら調べても、毒に侵されてる部分が見つからなくて…。そんな『透明』な毒もあるの?」
「ないことはないけど…。こんな用途で使われるとは思えない」
天音せんせーの問いに、『八千代』が答えていた。
俺は、それどころじゃなかった。
まさか。
俺の、思い過ごしであってくれ。
でも。
俺達は、大きな思い違いをしているのではないか?
もし、これが毒によるものじゃないとしたら…。
「…あのさー、一つ聞いていい?」
「何だ?」
「頭抱えて、叫んでたって言ってたじゃん?」
さっき、症状尋ねたとき。
「あぁ…叫んでた」
「なんて、叫んでた?」
「なんて、って…。そういえば…これ以上は、とか…近寄らないで、とか言ってたけど…」
…これ以上。
近寄らないで。
「本当に、令月やすぐりの言う通り精神錯乱系の毒なら、そういう言葉が出てもおかしくないんじゃないか?」
そうだね。
本当に、それが毒なんだったら、ね。
「もしかして、幻覚とか見せられて…?そういう毒はある?」
「あるにはあるけど…」
思い出す。
散々俺と、心の仮面を破る為の訓練をしたナジュせんせー。
読心魔法の、二つの弱点。
一つは、俺が協力して解決した。
でもナジュせんせーは、まだ訓練を続けると言っていた。
何の訓練をするのかは聞かなかったけど…。
考えれば、おのずと見えてくる。
ナジュせんせーの読心魔法の、もう一つの弱点。
もしその弱点を、ナジュせんせーが克服しようとしていたのだとしたら?
もし、ナジュせんせーが。
同時に心を読めるのは一人だけ、という弱点を。
相手の目を見なければ心を読めない、という弱点を。
この、もう一つの弱点を克服しようとして、もしそれが成功していたのだとしたら?
まさか。だって、そんなこと不可能だ。
いくらナジュせんせーだって、自分の限界くらい分かってるはず。
…だけど。
ナジュせんせーは、自分が役に立たなかったことを、酷く気に病んでいた。
仲間の信頼を失ってしまったと、自分のことを責めていた。
いつもの、理性のあるナジュせんせーならまだしも。
俺の心の仮面を剥がそうと、毎日キツい訓練を、一日も欠かさず、毎日限界まで行っていた。
そこまでして、自分の限界を越えようとしていた。
もしかして。
もしかして、ナジュせんせーは。
「まさか…」
俺がそう言いかけた、その時だった。
「ないことはないけど…。こんな用途で使われるとは思えない」
天音せんせーの問いに、『八千代』が答えていた。
俺は、それどころじゃなかった。
まさか。
俺の、思い過ごしであってくれ。
でも。
俺達は、大きな思い違いをしているのではないか?
もし、これが毒によるものじゃないとしたら…。
「…あのさー、一つ聞いていい?」
「何だ?」
「頭抱えて、叫んでたって言ってたじゃん?」
さっき、症状尋ねたとき。
「あぁ…叫んでた」
「なんて、叫んでた?」
「なんて、って…。そういえば…これ以上は、とか…近寄らないで、とか言ってたけど…」
…これ以上。
近寄らないで。
「本当に、令月やすぐりの言う通り精神錯乱系の毒なら、そういう言葉が出てもおかしくないんじゃないか?」
そうだね。
本当に、それが毒なんだったら、ね。
「もしかして、幻覚とか見せられて…?そういう毒はある?」
「あるにはあるけど…」
思い出す。
散々俺と、心の仮面を破る為の訓練をしたナジュせんせー。
読心魔法の、二つの弱点。
一つは、俺が協力して解決した。
でもナジュせんせーは、まだ訓練を続けると言っていた。
何の訓練をするのかは聞かなかったけど…。
考えれば、おのずと見えてくる。
ナジュせんせーの読心魔法の、もう一つの弱点。
もしその弱点を、ナジュせんせーが克服しようとしていたのだとしたら?
もし、ナジュせんせーが。
同時に心を読めるのは一人だけ、という弱点を。
相手の目を見なければ心を読めない、という弱点を。
この、もう一つの弱点を克服しようとして、もしそれが成功していたのだとしたら?
まさか。だって、そんなこと不可能だ。
いくらナジュせんせーだって、自分の限界くらい分かってるはず。
…だけど。
ナジュせんせーは、自分が役に立たなかったことを、酷く気に病んでいた。
仲間の信頼を失ってしまったと、自分のことを責めていた。
いつもの、理性のあるナジュせんせーならまだしも。
俺の心の仮面を剥がそうと、毎日キツい訓練を、一日も欠かさず、毎日限界まで行っていた。
そこまでして、自分の限界を越えようとしていた。
もしかして。
もしかして、ナジュせんせーは。
「まさか…」
俺がそう言いかけた、その時だった。


