神殺しのクロノスタシス3

きっかけは、とある女子生徒の一言だった。

「ねぇ、学院長先生、パブロバってお菓子知ってますか?」

「パブロバ…?」

「この間、外国の小説読んでたら出てきたんです。学院長先生、食べたことありますか?」

「いや…ないなぁ」

ほう。

シルナでも、まだ食べたことのないお菓子があったとは。

世界は広いな。

パブロバって何だ?

「そうなんですか…。どんなお菓子なんだろうなぁ…」

「…」

シルナでさえ食べたことがないと聞いて、ちょっとショボンとする女子生徒。

そしてシルナは、決意した。

この生徒に、パブロバというお菓子はこういうものだよ、と教えてあげようと。

他ならぬ自分が、彼女に食べさせてあげようと。

そして他ならぬ自分もまた、その見知らぬお菓子を食べてみたいと。

シルナは調べた。パブロバという珍しいお菓子は、何処に売っているのかと。

わざわざ、分身を作ってまで探させた。  

いっそ自分で作れば良いのに。

二日ほど調べて、ようやく見つけた。

王都セレーナから遠く離れた、南方都市シャネオンに、世界各地の珍しいお菓子を取り扱う店があることを。

それが、スイーツショップ「ヘンゼルとグレーテル」だった。

シルナはその店から、パブロバというお菓子を取り寄せた。

…大量に。

クラスどころか、学年全員に配れるほど大量に。

そして、該当生徒を呼び寄せ、これがパブロバだよ〜と一緒に食べ。

他の生徒にも、珍しいお菓子があるよ~と呼び止めては食べさせ。

自分もモリモリ食って。

…そして、今に至る。