神殺しのクロノスタシス3

しかも、気づいたら。

イレースの片手は、印籠のように掲げられたそれ。

もう片方の手には、杖が握られていた。

…パチパチと、雷の迸る杖が。

…やべぇ。

シルナ、ガクブル。

「私は慈悲深いので、もう一度だけ聞いてあげましょう…」

本当に慈悲深い人は多分、片手に杖は持ってないと思う。

が、口に出すとその雷がこちらに飛んできかねないので、スルーする。

「これは、何ですか?」

ここまで来たら、さすがのシルナも答えない訳にはいかない。

「せ、請求書だね…せん、先月の…」

「そうですね。私もそう思います」

俺もそう思うよ。

「で?この金額は何です」

「…」

「この莫大な請求は何です。あら、それとも私の目がおかしいんですかね?例年にない莫大な請求…。そうですね、私の目がおかしいんでしょうね。そう言ってくださいよ学院長」

「…」

シルナ、無言でガクブル。

「有り得ませんもんね?何なんでしょうね?この…スイーツショップ『ヘンゼルとグレーテル』とかいう店からの請求額…私も魔導学院の経営に携わって長いですが、こんなの初めて見ましたよ」

バシッ、と請求書を叩くイレース。

俺も初めて見たな〜…。何だろうな、あの請求…。

「あ、あのねイレースちゃん。それは違うんだよ。それはね、あのね」

「…洗いざらい話してもらいましょうか」

「あのねそれは、必要経費っていうか」

「そうですか、学院長はお歳ですから、自分に都合の悪いことは忘れてしまうんですね。仕方ありませんね。電気療法で記憶を蘇らせ、」

「うわぁぁぁん、話す、話すから!電気療法は勘弁してくださいお願いします!」

半泣きで、イレースにしがみつき。

シルナは、事の次第を話し始めた。