神殺しのクロノスタシス3

「どっ…どうしたのイレースちゃん?そ、そんな血相変えて…」

「それはこっちの台詞です」

イレースの背中から、メラメラと怒りの炎が上がっていた。

こえぇ〜…。何したんだシルナの奴。

俺し〜らね。

俺は関係ないということで。

「…あら」

イレースは、シルナの隣で、イレースのあまりの剣幕に震えている男子生徒、サトリを見て。

にこりと、笑顔で言った。

人を殺せそうな笑顔だった。

「学院長に用があったんですか?ごめんなさいね、私もこの汚物に用がありまして…。お急ぎでないなら、ちょっと席を外して頂けますか?」

「は、はいっ…済みませんでした!」

サトリは、己の身の危険を感じたらしく。

「あ、さ、サトリくーん!私を置いていかないで!」

既に半泣きのシルナを置き去りに、脱兎のごとく学院長室から駆け出していった。
 
お前は偉い。正しい判断だ。

出来ることなら、俺も一緒に逃げ出したい。

あ、そういやナジュのこと聞き逃したな…。

まぁ、今はそれどころではないのだが。

まずは、目の前の鬼神を何とかしなくては。

「ど、どうしたのイレースちゃん。落ち着こう?ね、落ち着こう?争いは憎しみを生み出すだけだと、私は思、」

「これは何ですか」

イレースは、シルナの言葉を遮って、印籠のようにそれを掲げた。

…あれは。

ヤバいものだと気づいたのか、シルナの顔色が変わった。  

「い、い、イレースちゃん。落ち着こうよ、ね?今お茶、そう、お茶淹れるから。ちょっと座り、」

「これは何かと聞いてるんですよ…私が」

「ひっ…」

イーニシュフェルト魔導学院の学院長とか、そういうのもう関係ない。

ただ、目の前のイレースが怖かった。