神殺しのクロノスタシス3

リミッターを外してしまえば、あとは簡単だ。

一人、二人と、同時読心出来る人数を増やしていく。

一人増えていく度に、頭痛が酷くなっていく。

それを耐える。耐えて、平気な振りをして、慣れる。

慣れれば、耐えられる時間も長くなっていく。

数秒が数十秒になって、一分になる。

一分が二分になって、三分になって、四分五分になって…。

大きめのカップラーメンが出来上がる時間まで、耐えられるようになる。

無限のように長い時間も、歯を食い縛って耐える。

延々と、その作業を繰り返す。

そして、ある日僕は、目標を達成した。

…目標って、何だったっけ?

そうだ、十人の人間の同時読心を、十分間維持することだ。

風魔法サークルのメンバーは十二人だから、正しくは、十二人の同時読心に成功した。

十人までにするつもりが、いつの間にか目標を越えていた。

練習なんだから、ちょっと難易度高めの方が丁度良いのだ。

歯を食い縛り、酷い頭痛を感じなかったことにして、涼しい顔をして。

異様に落ちるのが遅い砂時計の砂が、全て落ちきるのを待つ。

そして。

気がついたら、目標の時間が過ぎていた。

「…ふー…」

ズキズキと、頭が痛む。

知るか。

とにかく、成功した。

僕は心の中でガッツポーズ…を、したかったのだが。

…僕の心って、何処だっけ?

一瞬、自分が何者か分からなくなる。

あぁそうだ、僕はナジュだ。

ルーチェス・ナジュ・アンブローシア。

危ない危ない。

危うく自分が何者か、分からなくなるところだった。

やっぱり、十二人はさすがに多いか。

予想していた通り、十人が限度だな。

だが、前、すぐりさんの心の仮面を破ったときにも言ったが。

一度成功したからと言って、習得したことにはならない。

十日だな。

十人(正しくは十二人だが)十分十日。

これを続けられたら、合格にしよう。

読心をやめても、まだ収まらない頭痛を堪えながら。

僕は、あと十日の付き合いになるであろう、風魔法サークルの生徒達に、風魔法の指導をした。