神殺しのクロノスタシス3

…のは、良いものの。

新しい訓練場は、学院長室よりずっとハードだった。

ここでは常時、五人以上の読心を続けていたが。

「…っ」

一瞬も気を抜けない。

集中力が途切れたら、すぐに五人以上の思考の波に呑まれてしまいそうになる。

しかも。

僕は、読心魔法だけに徹していれば良い訳じゃない。

「ナジュ先生、この魔導書に書いてあることなんですけど…」

「…」

「…ナジュ先生?」

「…あ、はい…。何ですか?」

当然だが、生徒達に風魔法の指南もしなければならない。

何タスク同時進行だよ。

おまけにこの子達、(無駄に)サークル活動に熱心で。

新しい風魔法を会得しようと、いくつもの風魔法の魔導書を持ってきては。

ホワイトボードにあれこれ書き、ああでもないこうでもないと議論し。

僕に、意見を求めてくる。

彼らの思考はほぼずっと、目まぐるしく怒濤のように動いていて。

僕の頭に流れ込んでくる情報の量は、学院長室にいた頃と比べると、半端ではなかった。

…大変過ぎる。

いや、前向きに考えろ。

その分、訓練には持ってこいだ。

お陰で。

風魔法サークルを訓練場に変えてから、およそ二週間ほどもたつと。

僕が無意識にかけていた五人以上リミッターが、いつの間にか外れていた。