神殺しのクロノスタシス3

「ふーん…。まぁ、好きにしなよ。とにかく俺は、もう訓練には付き合わなくて良いんだよね?」

「そうなりますね」

「あー、長かった。全く、嫌と言うほど暴かれたくもない心の中を覗かれて、散々だったよ」

おっと、それは心外だな。

「あれ~?大好きなツキナさんの写真をプレゼントしたり、彼女の好みや嗜好を探っては教えてあげ、心の奥のスケベ心を黙ってあげてる優しい教師は誰でしたっけ?」

「わーもう、ナジュせんせーだぁい好き!ありがと~この野郎!」

宜しい。

でも、まぁ。

「僕もあなたには感謝してますよ」

「…何を?」

「訓練に付き合ってもらったのもそうですし、それに何より…気づかせてくれましたからね」

僕の読心魔法の弱点。

そして…僕が自分の魔法に、慢心していたという恥ずべき事実に。

すぐりさんが現れなかったら、一生気づかないままだったかもしれない。

いや、僕の一生は無駄に長いことが確定しているので、もしかしたら何処かで気づいていたかもしれないが。

それはきっと、もっとずっと先のことだっただろう。

「ふーん…。何でも良いけど…」

「そんな訳なので、ありがとうございました」

「あぁ、ちょっと待ってよ」

「?何か?」

すぐりさんは、年相応にちょっともじもじしてから。

「…ツキナがさぁ、毎日ナジュせんせーが来てくれるもんだから、『ナジュ先生も園芸に興味あるのかなぁ、野菜出来たら一緒に収穫したいね!』とか言ってたから」

「…」

「…毎日じゃなくても、たまには、また…園芸部に顔を出してよ。いきなり来なくなったら…ツキナが寂しがる」

…ほう。

「…『やっとツキナと二人きりで部活動出来ると思ったのに、こいつが来なかったらツキナが寂しがるから、仕方ない譲歩してやるか』…」

「早速俺の心の奥を読むの、やめてくれないかなぁ!?」

はいはい、顔真っ赤で激怒、ありがとうございます。

「冗談ですよ」

「何がだよ!?事実じゃん!」

まぁ事実なんだけど。

「分かりました。また顔出しますね」

「…宜しく」

「あと、王子様とお花畑、頑張ってくださいね」

「…やっぱり来ないでもらおうかな…」

ふふ。

(僕と違って)命短し、恋せよ男子。

存分に、青春を味わうと良い。