…こうして。
連日に渡って、僕は心の仮面の裏側を覗き見る訓練を続けた。
勿論、対価であるツキナさんの写真は、ちゃんとすぐりさんにあげたよ。
それはともかく。
一度成功したのは、まぐれではなかったようで。
上手いことコツを掴んだ僕は、二回目、三回目と成功し。
どれだけ気を逸らされても、失敗するということはなくなった。
頑張って心に蓋をしようとしているすぐりさんには、申し訳ないが。
蓋の中を覗くことは、難しくなくなった。
いや、難しいのは難しいけどね。
問題は、心の蓋に辿り着き、その亀裂の隙間に糸を通すまでの、時間。
先程も言ったが、実戦の場面では、敵は僕が心の仮面を剥がすのを、悠長に待ってはくれない。
一分どころか、30秒だって待ってはくれない。
拘束するなり麻痺させるなりして、精々10秒ほどの猶予しかないと思った方が良い。
目指せ、10秒で心の奥。
それを目標に、僕は訓練を続けた。
そして、しばらく訓練を続けるうちに、実際10秒程度で、心の仮面を剥がすことが出来るようにはなった。
それ自体は喜ばしいし、我ながらよくやったとは思うのだが。
「…これ以上、すぐりさんの心の中を覗いても、もう意味ないですね」
「…そーだね」
すぐりさんも、分かってると思うけど。
僕も分かってる。
僕の練習相手になってくれたのは、すぐりさんだけだ。
僕が心の蓋を開けられたのは、すぐりさんだけ。
つまり、すぐりさんの心の蓋は開けられるようになったけど。
他の人間に、同じやり方が通用するかどうかは、分からないのだ。
こればかりは、どうしようもない。
すぐりさんの他に、心に仮面をつけられる人がいないのだから。
練習相手となれる人物が一人しかいない。
そして、その唯一の練習相手とは、散々練習して、完全に会得した。
もうこれ以上、すぐりさんと訓練しても無駄だ。
…まぁ、これ以上すぐりさんの、ツキナさんへの下心にまみれた恋愛事情を知ってもしょうがない、って言うか。
特に知りたくもない、っていうのもあるが。
とにかく。
あとはもう、実戦で試すしかない。
「俺を相手に、完璧に習得出来たとは思わない方が良いよ」
すぐりさんが言った。
「俺も他人のことは分からないけど、多分心の仮面の壊れやすさは、人によって違う」
「…」
「特に俺のは、敵に読心魔法の使い手がいると知ってから、急場でこしらえた、謂わば付け焼き刃みたいなものだから。訓練した人間なら、もっと頑丈な仮面をつけてくると思う」
「…でしょうね」
すぐりさん相手に、完全に攻略出来たと喜んでる訳にはいかない。
すぐりさんは、難易度としては低い方なのだ。
これから来るであろう、『終日組』の暗殺者…。
それから、間違いなく『終日組』の暗殺者より、長い訓練を積んだであろうヴァルシーナ。
彼女達の心の仮面は、恐らくすぐりさんのそれとは、比べ物にならないほど頑丈だろう。
そう簡単に、壊されてくれるとは思えない。
それだけの自信も、僕にはまだない。
…だから。
「大丈夫。次の手を、もう考えてありますから」
この程度。
この程度で、満足はしていられないのだ。
連日に渡って、僕は心の仮面の裏側を覗き見る訓練を続けた。
勿論、対価であるツキナさんの写真は、ちゃんとすぐりさんにあげたよ。
それはともかく。
一度成功したのは、まぐれではなかったようで。
上手いことコツを掴んだ僕は、二回目、三回目と成功し。
どれだけ気を逸らされても、失敗するということはなくなった。
頑張って心に蓋をしようとしているすぐりさんには、申し訳ないが。
蓋の中を覗くことは、難しくなくなった。
いや、難しいのは難しいけどね。
問題は、心の蓋に辿り着き、その亀裂の隙間に糸を通すまでの、時間。
先程も言ったが、実戦の場面では、敵は僕が心の仮面を剥がすのを、悠長に待ってはくれない。
一分どころか、30秒だって待ってはくれない。
拘束するなり麻痺させるなりして、精々10秒ほどの猶予しかないと思った方が良い。
目指せ、10秒で心の奥。
それを目標に、僕は訓練を続けた。
そして、しばらく訓練を続けるうちに、実際10秒程度で、心の仮面を剥がすことが出来るようにはなった。
それ自体は喜ばしいし、我ながらよくやったとは思うのだが。
「…これ以上、すぐりさんの心の中を覗いても、もう意味ないですね」
「…そーだね」
すぐりさんも、分かってると思うけど。
僕も分かってる。
僕の練習相手になってくれたのは、すぐりさんだけだ。
僕が心の蓋を開けられたのは、すぐりさんだけ。
つまり、すぐりさんの心の蓋は開けられるようになったけど。
他の人間に、同じやり方が通用するかどうかは、分からないのだ。
こればかりは、どうしようもない。
すぐりさんの他に、心に仮面をつけられる人がいないのだから。
練習相手となれる人物が一人しかいない。
そして、その唯一の練習相手とは、散々練習して、完全に会得した。
もうこれ以上、すぐりさんと訓練しても無駄だ。
…まぁ、これ以上すぐりさんの、ツキナさんへの下心にまみれた恋愛事情を知ってもしょうがない、って言うか。
特に知りたくもない、っていうのもあるが。
とにかく。
あとはもう、実戦で試すしかない。
「俺を相手に、完璧に習得出来たとは思わない方が良いよ」
すぐりさんが言った。
「俺も他人のことは分からないけど、多分心の仮面の壊れやすさは、人によって違う」
「…」
「特に俺のは、敵に読心魔法の使い手がいると知ってから、急場でこしらえた、謂わば付け焼き刃みたいなものだから。訓練した人間なら、もっと頑丈な仮面をつけてくると思う」
「…でしょうね」
すぐりさん相手に、完全に攻略出来たと喜んでる訳にはいかない。
すぐりさんは、難易度としては低い方なのだ。
これから来るであろう、『終日組』の暗殺者…。
それから、間違いなく『終日組』の暗殺者より、長い訓練を積んだであろうヴァルシーナ。
彼女達の心の仮面は、恐らくすぐりさんのそれとは、比べ物にならないほど頑丈だろう。
そう簡単に、壊されてくれるとは思えない。
それだけの自信も、僕にはまだない。
…だから。
「大丈夫。次の手を、もう考えてありますから」
この程度。
この程度で、満足はしていられないのだ。


