そうだ、この違和感だ。
ちゃんと心を覗いてるのに、何処か、何かを隠されているような感覚。
見せても良い部分だけを見せて、本当に大事なことには蓋をされている感覚。
全部が見えてる訳じゃない。
表面だけを見せられて、その裏側が見えない。
巧妙に隠されている。
でも、その蓋は完璧なものじゃない。
当たり前だ。
羽久さんのように、たくさんの人格に分かれているのでもない限り。
自分の本心を、完全になかったことにするのは不可能だ。
あくまで、蓋をして隠しているに過ぎない。
だから僕がすべきなのは、その蓋を外すこと。
そしてその蓋に、鍵はかかってない。
開けようと思えば、開けられる。
開けろ。
蓋を開けろ。仮面を剥がせ。
「…ふぅ…」
それはまるで、深淵から一本の糸を探るような作業だった。
深く覗き込む。もっと、もっと深くに。
こんな浅いところじゃない。もっと奥を見るのだ。
すぐりさんは集中していると言ったが、僕も集中していた。
すぐりさん以上に集中していた。
そして。
深く深く潜り込んで、心の蓋に触れようとした…、
そのとき。
「…はーい、もう終わり」
いきなり、現実に引き戻された。
「はっ…はぁ…はぁ…」
張り詰めていた緊張と集中の糸が途切れて、僕は思わず、壁に手をついた。
…危なかった。
「あんまり無理すると、戻れなくなるよ」
「…そう…みたいですね…」
危うく。
訓練初日にして、医務室送りになるところだった。
「続きは明日にしようよ。俺もあの状態、そう長くは続けられないし」
「…分かりました」
僕は、ちらりと時計を見た。
僕がすぐりさんの心を覗いていたのは、精々一分と少し。
たったそれだけの時間しか、集中力が持たなかった。
…超雑魚じゃん。僕。
すぐりさんがあの状態を維持出来るのは、最長五分。
対する僕は、たった一分ほどしか深淵を覗けず。
大体、仮面をひっぺがすことさえ出来ていないのだ。
先は、まだ長そうだ。
ちゃんと心を覗いてるのに、何処か、何かを隠されているような感覚。
見せても良い部分だけを見せて、本当に大事なことには蓋をされている感覚。
全部が見えてる訳じゃない。
表面だけを見せられて、その裏側が見えない。
巧妙に隠されている。
でも、その蓋は完璧なものじゃない。
当たり前だ。
羽久さんのように、たくさんの人格に分かれているのでもない限り。
自分の本心を、完全になかったことにするのは不可能だ。
あくまで、蓋をして隠しているに過ぎない。
だから僕がすべきなのは、その蓋を外すこと。
そしてその蓋に、鍵はかかってない。
開けようと思えば、開けられる。
開けろ。
蓋を開けろ。仮面を剥がせ。
「…ふぅ…」
それはまるで、深淵から一本の糸を探るような作業だった。
深く覗き込む。もっと、もっと深くに。
こんな浅いところじゃない。もっと奥を見るのだ。
すぐりさんは集中していると言ったが、僕も集中していた。
すぐりさん以上に集中していた。
そして。
深く深く潜り込んで、心の蓋に触れようとした…、
そのとき。
「…はーい、もう終わり」
いきなり、現実に引き戻された。
「はっ…はぁ…はぁ…」
張り詰めていた緊張と集中の糸が途切れて、僕は思わず、壁に手をついた。
…危なかった。
「あんまり無理すると、戻れなくなるよ」
「…そう…みたいですね…」
危うく。
訓練初日にして、医務室送りになるところだった。
「続きは明日にしようよ。俺もあの状態、そう長くは続けられないし」
「…分かりました」
僕は、ちらりと時計を見た。
僕がすぐりさんの心を覗いていたのは、精々一分と少し。
たったそれだけの時間しか、集中力が持たなかった。
…超雑魚じゃん。僕。
すぐりさんがあの状態を維持出来るのは、最長五分。
対する僕は、たった一分ほどしか深淵を覗けず。
大体、仮面をひっぺがすことさえ出来ていないのだ。
先は、まだ長そうだ。


