「心に仮面を被る。言うは易しだけど、実際やろうと思ったら、けっこー大変だったよ」
「…大変さで例えると、どんな具合で?」
「そうだなー。片手逆立ちで、腕立て伏せしながら校庭一周くらいの難易度」
出来る人いるんですか?それ。
まぁ、出来る人がいるから、こうなってるんだけど。
少なくともすぐりさんとヴァルシーナは、その片手逆立ちアクロバットが出来た、ってことが証明されてるんだ。
「よく出来ましたね、そんなことが」
「…あのときの俺は、『八千代』への復讐心でいっぱいだったからねー。『八千代』を殺す為なら、どんな血反吐を吐くような努力も苦じゃなかったんだよね~」
…と、あなたは笑って言うけれど。
僕は笑えない。
それだけの努力という対価を支払えば、僕の目を誤魔化せると証明されたのだから。
つまり、ヴァルシーナもそうか。
憎きシルナ・エインリーを殺す為、その為に僕を利用しようとし。
その僕に本心を悟られない為、血反吐を吐く努力をして、読心魔法対策を編み出したと。
そして、それを僕に悟らせなかった。
ヴァルシーナと比べたら、すぐりさんの方は若干、違和感が大きかった。
付け焼き刃の訓練だったってことなんだろうけど。
「それに、この『読心魔法対策』状態、長くは続かないよ」
「そうなんですか?」
「自分の心を騙し続けられる時間なんて、長く続けられる訳ないじゃん。精々三分…。めちゃくちゃ集中して五分、ってところかなー、良いとこ」
…五分…か。
「精神力使うし、集中力も使う。正直、使わずにいられるなら使わずにいたいねー。少しでも気を抜いたら、一瞬で剥がれるんだからさ」
「…」
「だからまぁ…何が言いたいのかっていうと」
すぐりさんは、腰掛けていた机の上から、ひょい、と降りた。
「そんなに簡単じゃないんだよ。心に仮面をつけるのは」
「…そうですか」
「誰でも出来る訳じゃない。同じ『終日組』でも、『玉響』には会得出来なかった。『八千代』みたいに、元々自分の感情が希薄な人間なら、比較的簡単かもしれないけどねー」
「…それは、分かりました」
簡単には出来ない。
誰にでも出来る訳じゃない。
片手逆立ちでアクロバットしながら、校庭一周する難易度だってことも分かった。
でも、僕にとってはそんなこと、どうでも良い。
誰にでも出来る訳じゃないとか、めちゃくちゃ難しいとか、そういうことが問題なんじゃない。
「対策出来てしまうこと」。
これ自体が、僕にとっては大問題なのだ。
「…大変さで例えると、どんな具合で?」
「そうだなー。片手逆立ちで、腕立て伏せしながら校庭一周くらいの難易度」
出来る人いるんですか?それ。
まぁ、出来る人がいるから、こうなってるんだけど。
少なくともすぐりさんとヴァルシーナは、その片手逆立ちアクロバットが出来た、ってことが証明されてるんだ。
「よく出来ましたね、そんなことが」
「…あのときの俺は、『八千代』への復讐心でいっぱいだったからねー。『八千代』を殺す為なら、どんな血反吐を吐くような努力も苦じゃなかったんだよね~」
…と、あなたは笑って言うけれど。
僕は笑えない。
それだけの努力という対価を支払えば、僕の目を誤魔化せると証明されたのだから。
つまり、ヴァルシーナもそうか。
憎きシルナ・エインリーを殺す為、その為に僕を利用しようとし。
その僕に本心を悟られない為、血反吐を吐く努力をして、読心魔法対策を編み出したと。
そして、それを僕に悟らせなかった。
ヴァルシーナと比べたら、すぐりさんの方は若干、違和感が大きかった。
付け焼き刃の訓練だったってことなんだろうけど。
「それに、この『読心魔法対策』状態、長くは続かないよ」
「そうなんですか?」
「自分の心を騙し続けられる時間なんて、長く続けられる訳ないじゃん。精々三分…。めちゃくちゃ集中して五分、ってところかなー、良いとこ」
…五分…か。
「精神力使うし、集中力も使う。正直、使わずにいられるなら使わずにいたいねー。少しでも気を抜いたら、一瞬で剥がれるんだからさ」
「…」
「だからまぁ…何が言いたいのかっていうと」
すぐりさんは、腰掛けていた机の上から、ひょい、と降りた。
「そんなに簡単じゃないんだよ。心に仮面をつけるのは」
「…そうですか」
「誰でも出来る訳じゃない。同じ『終日組』でも、『玉響』には会得出来なかった。『八千代』みたいに、元々自分の感情が希薄な人間なら、比較的簡単かもしれないけどねー」
「…それは、分かりました」
簡単には出来ない。
誰にでも出来る訳じゃない。
片手逆立ちでアクロバットしながら、校庭一周する難易度だってことも分かった。
でも、僕にとってはそんなこと、どうでも良い。
誰にでも出来る訳じゃないとか、めちゃくちゃ難しいとか、そういうことが問題なんじゃない。
「対策出来てしまうこと」。
これ自体が、僕にとっては大問題なのだ。


