神殺しのクロノスタシス3

何とか、すぐりさんの協力を取り付けたところで。

「…まず、聞きたいんですけど」

「うん?」

「心に仮面を被って、本心を隠すっていうあれ」

「あー、やったねそんなこと」

「あれって、どうやってやるんですか?」

少なくとも僕には出来ないし。

すぐりさんとヴァルシーナ以外、それを出来た人間を見たことがない。

「同じ『終日組』の暗殺者でも、令月さんは使ってませんでしたよね。それと…『玉響』さんも」

「『八千代』が使えないのは仕方ないんじゃないかなー?『八千代』がここに攻めてきたときは、敵に読心魔法の使い手がいるなんて知らなかった。そんな情報は届いてなかったからね」

成程。

「でも『八千代』なら…訓練すれば出来ると思うよ。あれは…俺より優秀だったからね」

「…」

…ますます、成程。

よく分かった。

嫌なことが分かった。

「…つまり、あなたクラスの魔導師、及び暗殺者ともなれば、僕の読心魔法を謀ることくらい、簡単に出来るってことですね」

ヴァルシーナしかり、すぐりさんしかり。

じゃあ羽久さんやシルナ学院長も、やろうと思えば出来る訳だ。

やろうとしてないだけで。

「出来るんじゃないかな~?ただ…簡単に、とは行かないよ」

「…そうなんですか?」

「そうなんですかって、考えてみなよ。自分の本心を、自分で騙すんだよ?自分の考えてること、完全に隠すんだよ?誰でも簡単に出来るはずないでしょ」

それは…まぁ。

そうなのかもしれないけど。

「でも、あなたは出来ましたよね?」

「それはターゲット側、つまり『八千代』の近くに、君がいたからだよ」

「…」

「厄介な読心魔法の使い手が敵側にいて、対策をしなきゃ話にならないから、必死に訓練しただけで」

「…それを言うなら、あなたとコンビを組んでた『玉響』さんも、対策出来てなきゃいけなかったはずですよね」

でも、『玉響』さんは対策していなかった。

それは何故?

「勿論『玉響』も、君の存在は知ってた。見つかったら面倒な相手だって」

「なら、どうして彼は…」

「だから言ったでしょ。簡単に出来ることじゃないんだよ。自分で自分を騙すってことは」

…そういうことか。

「対策しようと思えば出来るけど、その為にはそれなりの訓練と技術が必要ってことですか」

「あとは精神力だね。並大抵の人間には、まぁ出来ないかな~」

そうですか。

…ちょっとだけ、安心しましたよ。