それから一時間後。
花曇すぐりが、僕のもとにやって来た。
「…早かったですね」
「早く済ませてきてあげたんじゃん。意味深なこと言うからさ~」
それはそれは。
「どうも済みませんね。大事な恋人との逢瀬の時間を邪魔して」
「残念だね~。恋人とはまだ言えないんだよ」
え。
「俺はそのつもりだったのに、向こうがイマイチ本気にしてないって言うか…」
「はぁ…。それは残念でしたね…」
まぁ、視界の隅で挽き肉になってる人間がいても、平気でスルーする天然ぶりだからね。
あの子はそういう子だってことだ。
「って言うか、それくらいお得意の読心魔法で分かるんじゃないの?隙あらば人の心読んでるんでしょ」
グサッ。
今それを気にしてるから、あまり安易に口に出さないで欲しい。
…って、それもこれも全部、僕のせいなんだが…。
「読んでませんよ。…今は」
「ふぅん?それで、俺に何の用?」
「あなたのことだから、大体察しているのでは?」
「そうだね~…。やっぱりあれかな?」
あれ?
「俺に読心魔法の弱点を見破られてたことが、よっぽどショックだったのかな~?意外と対策可能だなんて、本人も知らなかったみたいだからねー」
おちょくるような口調で、そう言われた。
…笑って済ませられることなら、良かったんだけど。
「そうですね」
「…」
僕が、あまりにも素直に認めたものだから。
すぐりさんも、少し驚いているようだった。
「…何?『対策』されてたの、そんなにショックだった?」
「…以前にも、同じことがありましてね」
ヴァルシーナもまた、僕に対して仮面を被っていた。
そんな前例があったのに、またしても引っ掛かってしまった自分の愚かさを呪う、
その気持ちが、誰かに分かって堪るか。
「ふ~ん…。意外と殊勝なところあるんだねー」
「僕はこう見えて、繊細な少年のハートなんでね…」
あなたに「慢心」とか言われて、心にグサッとナイフ突き立てられて。
未だに、その傷が塞がらないんだよ。
天音さんでも、シルナ学院長でも治せない傷が。
「その上で、僕も読心魔法の弱点を克服しようと思いまして」
「ふ~ん…。成程、それで俺を呼んだ訳ね」
「ご名答です」
「でも俺、読心魔法のおっさんと過ごすより、ツキナと一緒に過ごす時間の方が大事なんだよね~」
それは分かるよ。
僕だって同じだ。
「だから、君の読心魔法なんてどうでも良いって言うか…」
…そうでしょうね。
いざとなったら、心に仮面をつけられるあなたにとっては。
「…どうでも良くない?」
けろっとして言われた。
「…どうでも良くないんですよ、これが」
「ふーん…?何で?」
「あなたなら、分かってくれると思ったんですけどね」
「何を?」
「暗殺出来ない暗殺者に、用はないでしょう?」
「…あぁ~…。はいはい、成程ね、そうだね」
ようやく納得してくれたようだ。
暗殺出来ない暗殺者に、用はない。
読心魔法の使えない読心魔法の使い手に、用はない。
同じだろう?
「…まぁ、良いよ。一応君は、俺の命の恩人…ってか、自爆を邪魔されただけなんだけど」
「…」
「協力…してあげないこともないかな~。俺優しいからね~」
「…どうも、ありがとうございますね」
不甲斐ない僕の為に。
花曇すぐりが、僕のもとにやって来た。
「…早かったですね」
「早く済ませてきてあげたんじゃん。意味深なこと言うからさ~」
それはそれは。
「どうも済みませんね。大事な恋人との逢瀬の時間を邪魔して」
「残念だね~。恋人とはまだ言えないんだよ」
え。
「俺はそのつもりだったのに、向こうがイマイチ本気にしてないって言うか…」
「はぁ…。それは残念でしたね…」
まぁ、視界の隅で挽き肉になってる人間がいても、平気でスルーする天然ぶりだからね。
あの子はそういう子だってことだ。
「って言うか、それくらいお得意の読心魔法で分かるんじゃないの?隙あらば人の心読んでるんでしょ」
グサッ。
今それを気にしてるから、あまり安易に口に出さないで欲しい。
…って、それもこれも全部、僕のせいなんだが…。
「読んでませんよ。…今は」
「ふぅん?それで、俺に何の用?」
「あなたのことだから、大体察しているのでは?」
「そうだね~…。やっぱりあれかな?」
あれ?
「俺に読心魔法の弱点を見破られてたことが、よっぽどショックだったのかな~?意外と対策可能だなんて、本人も知らなかったみたいだからねー」
おちょくるような口調で、そう言われた。
…笑って済ませられることなら、良かったんだけど。
「そうですね」
「…」
僕が、あまりにも素直に認めたものだから。
すぐりさんも、少し驚いているようだった。
「…何?『対策』されてたの、そんなにショックだった?」
「…以前にも、同じことがありましてね」
ヴァルシーナもまた、僕に対して仮面を被っていた。
そんな前例があったのに、またしても引っ掛かってしまった自分の愚かさを呪う、
その気持ちが、誰かに分かって堪るか。
「ふ~ん…。意外と殊勝なところあるんだねー」
「僕はこう見えて、繊細な少年のハートなんでね…」
あなたに「慢心」とか言われて、心にグサッとナイフ突き立てられて。
未だに、その傷が塞がらないんだよ。
天音さんでも、シルナ学院長でも治せない傷が。
「その上で、僕も読心魔法の弱点を克服しようと思いまして」
「ふ~ん…。成程、それで俺を呼んだ訳ね」
「ご名答です」
「でも俺、読心魔法のおっさんと過ごすより、ツキナと一緒に過ごす時間の方が大事なんだよね~」
それは分かるよ。
僕だって同じだ。
「だから、君の読心魔法なんてどうでも良いって言うか…」
…そうでしょうね。
いざとなったら、心に仮面をつけられるあなたにとっては。
「…どうでも良くない?」
けろっとして言われた。
「…どうでも良くないんですよ、これが」
「ふーん…?何で?」
「あなたなら、分かってくれると思ったんですけどね」
「何を?」
「暗殺出来ない暗殺者に、用はないでしょう?」
「…あぁ~…。はいはい、成程ね、そうだね」
ようやく納得してくれたようだ。
暗殺出来ない暗殺者に、用はない。
読心魔法の使えない読心魔法の使い手に、用はない。
同じだろう?
「…まぁ、良いよ。一応君は、俺の命の恩人…ってか、自爆を邪魔されただけなんだけど」
「…」
「協力…してあげないこともないかな~。俺優しいからね~」
「…どうも、ありがとうございますね」
不甲斐ない僕の為に。


