神殺しのクロノスタシス3

花曇すぐりは、園芸部の活動をしているとか。

園芸部って何だ、そんな部活あったか。

とにかく校舎周りの花壇辺りにいるのだろうと、手当たり次第探してみる。

すると。

「うわぁ…。もうこんなに草生えてるー…」

「春だからね!」

「それで~?これを抜けば良いの?」

「そうだよ!くれぐれも、間違って芽は摘まないようにね!芽を摘んじゃメッ!なんだからね」

「つまんない親父ギャグだなぁ…」

「親父ギャグじゃないもん!本気で言ったんだもん!」

おっ。

いかにも恋人らしい、糞つまんない会話が聞こえたぞ。

これはすぐりさんだな。

すぐりさんと、もう一人。

僕が床でペースト状になっているにも関わらず、ガン無視で「罰掃除行こっ」とか言ってた二年生の少女。

天然なのか、鋼のメンタルなのか、僕に興味がないのか。

いくら興味がない人でも、床でミンチになってたら普通気になるよなぁ?

とにかく。

「どうもお二人さん、こんにちは」

「あっ!ナジュ先生だ」

お邪魔させて頂きます。

多分今すぐりさんの心を覗いたら、「邪魔な奴が来た」とか思われてるんだろうな。

怖いから読まないけど。

「こんにちはナジュ先生!体調不良でお休みしてたんですよね?」

「えぇ、そうですね」

体調不良って言うか、あなた自分がその現場を見たのを覚えていらっしゃらない?

「もう元気になったんですか?」

「お陰様で」

「それは良かったです!」

「…」

すぐりさんの恋人という少女と、楽しくお喋りしていると。

すぐりさんの、この「邪魔な奴が来た…」という視線が痛い。

いやぁ、済みません邪魔で。

でも、僕だって。

用があるのはこの子じゃなくて、あなたなんですよね。

「園芸部されてるそうですね。今日は何をしてるんですか?」

「草取りと水やりです!」

地味だなぁ。

まぁ、園芸部の現実なんて、そんなもんなのかもしれない。

育てるまでは苦労するが、収穫するときなんて一瞬だからな。

人の命と一緒。

で。

「実は僕、すぐりさんに用があって来たんですが」

「俺に~?用って…何?何されんの~?」

「それは内緒」

こんなところで、恋人の前で、読心魔法云々の話をされたら困るだろう?

お互いにな。

「部活が終わったらで良いので、ちょっと職員室に来てくれませんかね」

「ふ~ん…?まぁ良いけど」

「じゃ、そういうことなんで。宜しくお願いします」

これで良い。

言うだけ言って、僕はその場を立ち去った。

「何かな何かな。すぐり君、怒られるの?補習授業しなさい!とか?」

「さぁ、何だろうね~。身に覚えがないなぁ」

身に覚えがない…ね。

本気で言ってるんだったら、それはそれでまた傷つくよ、僕。