神殺しのクロノスタシス3

「…そんなに怖い?」

「…怖いですよ」

「ナジュ君は怖がりだなー、よしよし」

「…」

怖い上に、弱いよ。

こうして、弱気になる度に精神世界にやって来て。

リリスに慰めてもらってさ。

昔からそうだった。

僕は、リリスの心だけは読めない。

僕の読心魔法は、どういう訳か、リリスには通用しないのだ。

人間ではなく、魔物だからだろうか?よく分からないけど。

とにかく、心の読めない相手がいると、落ち着く。

相手の心が読めたら、どうしても探ってしまいそうになってしまうから。

「『玉響』君が死んだのは、君のせいじゃないよ」

「…」

リリスは、僕の見ているものを見て、僕の聞いているものを聞いている。

だから、説明するまでもなく、状況は分かっている。

その上で、慰めようとしてくれているのだ。

「君はやれるだけのことをやったじゃない。少なくとも、すぐり君と、道連れにされようとしてた令月君の命は救った。それは君の功績じゃないの?」

「…そんな状況を、みすみす作り出してしまったのも、僕の功績ですけどね」

だってそうじゃないか。

最初から、花曇すぐりが完全に寝返った訳じゃないことを、見抜けていたら。

「お得意」で「ご自慢」の読心魔法で、ちゃんと把握出来ていたら。

あんな状況にはならなかった。

もっと最善の形に…誰も死なないで済むように…出来たかもしれないのに。

「それは結果論だよ、ナジュ君」

「…」

「もっと悪い状況になってたかもしれない。ナジュ君は、そのとき自分に出来る最善を尽くした。それは私も、皆も分かってるよ」

「…分かってないですよ」

「んん?」

リリスは分かってくれてると思うよ?

いつだってリリスは僕に甘くて、全面的に僕の味方だからね。

僕が何をしようと、何をすまいと、彼女は僕を責めない。

でも、他の人は違う。

無意識でも、自覚してなくても。

僕を責める気持ちが、心の端っこにある。

お前がもっとちゃんとしていれば、って。

そう思うのは当然だ。

僕だって、そう思ってる。

それに。

「僕は、最善を尽くしてなんかいなかった」

…分かってたのに。

何かおかしいなって。