あのとき。
僕が、『玉響』さんだけじゃなくて、すぐりさんの方にも注意を払っていたら。
もっと早く、すぐりさんの殺意に気づいていたら。
僕は、『玉響』さんを死なせずに済んだはずだ。
いや、その前に。
僕が自覚していなかった、決定的な弱点。
心に仮面を被った相手の心は、読めない。
今回の件で、僕はそれを思い知らされた。
違和感を感じていたのに。
すぐりさんが最初に、寝返ると言ってイーニシュフェルトの生徒になったとき。
あの人は、心に仮面を被っていた。
僕に心を読まれても良いように、自分の思考をコントロールしていたのだ。
彼に読心魔法を使ったとき感じた違和感の正体は、それだったのだ。
そしてあの違和感を、僕は、ヴァルシーナと会うときも感じていた。
つまりあの女も、僕の読心魔法の弱点を…自分ですら自覚していない弱点を…見抜いていたのだ。
僕は、蓋をされた思考だけを読んで、相手の心を見透かしたつもりでいた。
なんと滑稽なことか。
皆思っていた。
口には出さないし、強く思っていた訳じゃないけど。
少なくとも、イレースさんと、羽久さんと、天音さんと、あと令月さんと。
この四人は、思っていた。
心の隅っこで。
この四日間、四人共ちらりと僕を見舞いに来てくれた。
そのとき、僕は彼らの心を読んだ。
「お得意」の読心魔法で。
そして知った。
彼らが、心の隅っこで何を考えていたのか。
全員共通していた。
「お前が『ちゃんと正しく』心を読んでいたなら、こんなことにはならなかった」と。
本人達も、自分の意思とは関係なく、無意識に思っているようだった。
自覚はしていない。でも、心の何処かでそう感じている。
自分でも、そう思われるのは当然だと思う。
実際、羽久さんとイレースさんには言われたしな。
普段は、無駄なことを読んでは他人をからかうのに。
肝心なときに役に立たない、と。
僕もそう思った。
そして、今回の事件。
見舞いに来てくれた彼らの無言の思考は、僕を酷く傷つけた。
シルナ・エインリー学院長だけは、僕を責める気持ちは全くないみたいだった。
あれはもう仕方ない、しょうがないことだと思っているらしかった。
でも、他の四人は。
口には出さないし、本人達も自覚していないけれど。
心の何処かで、僕の読心魔法の甘さに落胆し、僕に失望していた。
この役立たずめ、という気持ちがあるってことだ。
これには、さすがの僕もちょっと傷ついた。
え?僕でも傷つくことがあるのかって?
そりゃありますよ。こう見えて僕、繊細な男の子だもん。
…っていう、冗談は置いておいて。
実は、彼らの無意識の言葉に、本当に傷ついたのだ。
そして、自分の愚かさを呪った。
花曇すぐり、君の言う通りだ。
僕は、自分の読心魔法に慢心していた。
僕が、『玉響』さんだけじゃなくて、すぐりさんの方にも注意を払っていたら。
もっと早く、すぐりさんの殺意に気づいていたら。
僕は、『玉響』さんを死なせずに済んだはずだ。
いや、その前に。
僕が自覚していなかった、決定的な弱点。
心に仮面を被った相手の心は、読めない。
今回の件で、僕はそれを思い知らされた。
違和感を感じていたのに。
すぐりさんが最初に、寝返ると言ってイーニシュフェルトの生徒になったとき。
あの人は、心に仮面を被っていた。
僕に心を読まれても良いように、自分の思考をコントロールしていたのだ。
彼に読心魔法を使ったとき感じた違和感の正体は、それだったのだ。
そしてあの違和感を、僕は、ヴァルシーナと会うときも感じていた。
つまりあの女も、僕の読心魔法の弱点を…自分ですら自覚していない弱点を…見抜いていたのだ。
僕は、蓋をされた思考だけを読んで、相手の心を見透かしたつもりでいた。
なんと滑稽なことか。
皆思っていた。
口には出さないし、強く思っていた訳じゃないけど。
少なくとも、イレースさんと、羽久さんと、天音さんと、あと令月さんと。
この四人は、思っていた。
心の隅っこで。
この四日間、四人共ちらりと僕を見舞いに来てくれた。
そのとき、僕は彼らの心を読んだ。
「お得意」の読心魔法で。
そして知った。
彼らが、心の隅っこで何を考えていたのか。
全員共通していた。
「お前が『ちゃんと正しく』心を読んでいたなら、こんなことにはならなかった」と。
本人達も、自分の意思とは関係なく、無意識に思っているようだった。
自覚はしていない。でも、心の何処かでそう感じている。
自分でも、そう思われるのは当然だと思う。
実際、羽久さんとイレースさんには言われたしな。
普段は、無駄なことを読んでは他人をからかうのに。
肝心なときに役に立たない、と。
僕もそう思った。
そして、今回の事件。
見舞いに来てくれた彼らの無言の思考は、僕を酷く傷つけた。
シルナ・エインリー学院長だけは、僕を責める気持ちは全くないみたいだった。
あれはもう仕方ない、しょうがないことだと思っているらしかった。
でも、他の四人は。
口には出さないし、本人達も自覚していないけれど。
心の何処かで、僕の読心魔法の甘さに落胆し、僕に失望していた。
この役立たずめ、という気持ちがあるってことだ。
これには、さすがの僕もちょっと傷ついた。
え?僕でも傷つくことがあるのかって?
そりゃありますよ。こう見えて僕、繊細な男の子だもん。
…っていう、冗談は置いておいて。
実は、彼らの無意識の言葉に、本当に傷ついたのだ。
そして、自分の愚かさを呪った。
花曇すぐり、君の言う通りだ。
僕は、自分の読心魔法に慢心していた。


