神殺しのクロノスタシス3

…あぁ、もう。

俺は、ぐい、と『八千代』の身体を押し退けた。

「…僕、また嫌われた?」

「…うるさい」

それから。

『八千代』の肩に突き刺していた小刀を、一気に引き抜いた。

「痛い」

「早く天音…先生のところ行って、治してもらってきなよ。毒も塗ってないから、すぐ治るよ」

「…」

何だ、そのぽやんとした顔は。

やっぱりムカつく奴だよ、君は。

「…言っとくけど、友達は仮だから。君が俺にムカつくこと言ったりしたりしたら、速攻絶交してやるから。良いね?」

「分かった。…あとね、一つ言って良い?『八千歳』」

「…何だよ?」

「さっき君に刺された肩が痛い」

「やっぱり絶交だよ!」

そういうところがムカつくんだって、自覚してない馬鹿。

どうやって仲良くなるんだ、こんな奴と。

「ごめんね。やっぱり痛くない」

「嘘ついてないで、早く治してもらってきなよって」

「うん」

傷口を押さえて、てくてくと医務室に向かう『八千代』。

あれと友達になるのは疲れるよ。

それから。

「…ツキナ…」

「早く罰掃除!罰掃除しよっ」

笑顔で俺の手を…血に濡れた手を…両手で握り締めるツキナ。

こっちは…何て言うかな。

いずれにしても、俺の周りには、変なのしかいない。

類は友を呼ぶって奴なのか?

笑えないよ。

でも、笑うしかない。

「…仕方ないなぁ」

いつもの、誤魔化しの笑いじゃない。

今初めて、心から笑えた気がした。

「えへへ。ほら、早く行こ」

「ちょ、引っ張らないでって…」

罰掃除に、こんなに楽しそうに行く人、初めて見たよ。

そもそも罰掃除をするのは俺であって、君じゃないだろうに。

まぁ、そんなことはどうでも良いか。

…俺達、友達らしいからね。