キエルは、僕が『アメノミコト』の運営する暗殺者養成学校に入学したときの、同級生だった。
後に、「蟲毒の試験」で潰し合いになるであろう同級生。
自分が生き残る為に、他人を殺さなければならないあの世界で。
常に、殺伐とした…張り詰めた空気の漂った、あの学校で。
どうして、彼女のような人間がいたのか、今でも分からない。
あれはきっと、彼女の生まれ持った、生来の性質だったのだろう。
キエルはいつだって、笑顔を絶やさない人だった。
今月末の試験で、対戦相手になるかもしれないのに。
殺し合いになるかもしれないのに。
彼女は優しかった。誰にでも優しかった。
そして、僕の唯一の友達だった。
あれはいつだったか。いつかの試験で、僕は重傷を負った。
対戦相手はちゃんと殺した。僕が勝った。
でも、戦いは僅差だった。
僕は勝ったけれど、僕自身も深手を負わされ、死にかけていた。
対戦の後、一応の治療はされるものの。
今を生き延びたって、所詮僕達は、来月には死んでるかもしれない、使い捨ての駒。
一人二人余分に死んだって、誰も困らない。
補充なんて、いくらでも効く。
人身売買の商人なんて、ジャマ王国にはいくらでもいる。
売りに出される子供達は、もっとたくさんいるのだ。
僕一人が死んだからって、誰も困らない。
治療されても、僕の傷は治らなかった。
傷口は開き、血と膿が出て、じくじくと痛んだ。
身体は燃えるように熱く、起き上がることもままならなかった。
そんな様子の僕を見ても、クラスメイトも、「先生達」も、何も言わなかった。何もしなかった。
どうでも良いからだ。
死はいつだって隣り合わせで、日常茶飯事で、今日を生き残ることは試練のようなもので。
生き延びられず、命を落とすことなんて。
何一つ、珍しいことではなかった。
ましてや、クラスメイトにとっては、僕が試験と関係ないところで死ねば、自分が生き残る一人になれる可能性が上がる。
だから、余計に重傷を負った僕を、遠目に眺めているだけだった。
…ただ一人、キエルを除いては。
後に、「蟲毒の試験」で潰し合いになるであろう同級生。
自分が生き残る為に、他人を殺さなければならないあの世界で。
常に、殺伐とした…張り詰めた空気の漂った、あの学校で。
どうして、彼女のような人間がいたのか、今でも分からない。
あれはきっと、彼女の生まれ持った、生来の性質だったのだろう。
キエルはいつだって、笑顔を絶やさない人だった。
今月末の試験で、対戦相手になるかもしれないのに。
殺し合いになるかもしれないのに。
彼女は優しかった。誰にでも優しかった。
そして、僕の唯一の友達だった。
あれはいつだったか。いつかの試験で、僕は重傷を負った。
対戦相手はちゃんと殺した。僕が勝った。
でも、戦いは僅差だった。
僕は勝ったけれど、僕自身も深手を負わされ、死にかけていた。
対戦の後、一応の治療はされるものの。
今を生き延びたって、所詮僕達は、来月には死んでるかもしれない、使い捨ての駒。
一人二人余分に死んだって、誰も困らない。
補充なんて、いくらでも効く。
人身売買の商人なんて、ジャマ王国にはいくらでもいる。
売りに出される子供達は、もっとたくさんいるのだ。
僕一人が死んだからって、誰も困らない。
治療されても、僕の傷は治らなかった。
傷口は開き、血と膿が出て、じくじくと痛んだ。
身体は燃えるように熱く、起き上がることもままならなかった。
そんな様子の僕を見ても、クラスメイトも、「先生達」も、何も言わなかった。何もしなかった。
どうでも良いからだ。
死はいつだって隣り合わせで、日常茶飯事で、今日を生き残ることは試練のようなもので。
生き延びられず、命を落とすことなんて。
何一つ、珍しいことではなかった。
ましてや、クラスメイトにとっては、僕が試験と関係ないところで死ねば、自分が生き残る一人になれる可能性が上がる。
だから、余計に重傷を負った僕を、遠目に眺めているだけだった。
…ただ一人、キエルを除いては。


