神殺しのクロノスタシス3

─────…聴取を終えて、花曇すぐりが学院長室を出ていった。

「さて、あとは私達大人で、対策を考えよう」

と、シルナ学院長。

しかし、僕の耳には、学院長の言葉は届いていなかった。

…。

…嘘は、ついていなかった。

それは確かだ。

花曇すぐりは、嘘をついていない。

別に何も隠してはいない。彼は自分が知っている、全ての情報を暴露した。

それは、心を読んだから分かる。

僕の読心魔法を前に、隠し事を出来るはずは…ない。

…と、言いたいところだが。

僕の脳裏に、一人の女の姿が蘇った。

そうだ、花曇すぐりを見る度に、僕は彼女のことを思い出していたのだ。

ヴァルシーナ・クルスという…『カタストロフィ』のリーダーだった女。

シルナ・エインリーを目の敵にしている、あの女を。

あの女を相手にしているときも、僕は同じものを感じていた。

おかしい。

何故花曇すぐりに、ヴァルシーナの姿を重ねてしまうのか…。

僕は、ちゃんと、本当に…。

「…ナジュ君?聞いてる?」

「え。あ、はい?」

いきなり学院長に話しかけられて、僕は現実に引き戻された。

全然聞いてなかった。

「だから、もし『玉響』君が学院に攻めてきたら、私達がどう動くかって分担を」

「あ、はい…。そうですね」

「ちょっと、しっかりしてくださいよ。生徒に何かあって、学院の名に泥を塗るような真似は許されませんよ」

イレースさんの叱責が飛ぶ。

「済みません、済みませんって。ちゃんと聞きますよ」

「特にあなたは、便利な読心魔法の使い手なんですから。しっかりしてもらわないと困ります」

「分かってますって。そんな怒らないでくださいよ」

そう。

僕は、便利な読心魔法の使い手。

…そのはずだ。