神殺しのクロノスタシス3

「どうしたすぐり。ようやく令月と仲直りする気になっ…」

「はぁ?嫌だね。俺は『八千代』のことなんて嫌いだ」

やっぱり駄目そう。

いやでも、しかし。

それなら何で、いきなりまたやって来たんだ?

と、思っていたら。

すぐりは、令月の前につかつかと歩み寄り。

令月の襟首を、ガシッと掴んだ。

お、おいおい喧嘩でも始めるつもりか、と身構えたら。

「…先日は桜餅を駄目にして、悪かったよ」

…えっ。

「気にしてたらごめんね」

「別に気にしてないよ」

「あっそー。そうだと思った」

そう言うなり、すぐりは令月から手を離した。

「じゃあね、これでちゃんと謝ったから!」

室内の全員がポカンとする中、すぐりは言いたいことだけを言って。

これでもう用済みとばかりに、さっさと学院長室を出ていった。

…一瞬で台風が来て、一瞬で過ぎ去ったかのようだ。

…とりあえず。

「…ナジュ」

「はい」

「あいつ、あれ…作戦か何か?」

「さぁ…。とにかく謝らなきゃいけないから謝った、って感じで、特に作戦企んでる訳じゃありませんでしたけど」

そうなんだ。

それなら安心だけど、でも別の意味で心配になってくる。

今あいつ…令月に、謝った、よな?

謝り方がかなり雑だったけど、でも謝った。

…マジで、どういう風の吹き回しなんだ?

「…青春だ。青春だよ…」

俺は唖然としているのに、シルナは何故かほんわか顔。

「…ナジュ」

「はい」

「こいつ…。シルナは、何を考えてる?」

「大丈夫。あなたの予想通り…頭の中、お花畑です」

「そうか」

それはそれで、安心したよ。