近くの交番に到着した時、中から女の人の声が聞こえた。
『あの、カメラを落としたんですが、ここには届いてないでしょうか』
女の人がそう言った。どうやら既に持ち主は、カメラを落としたことに気付いていて、僕より先に交番に着いていたらしい。
僕はカメラを手に、交番の中へ入る。
『あの、落とし物ってこれですか』

女の人が振り返り、僕のほうを見る。
その瞬間、僕の心臓はドクン、と脈打った。

陶器のような白い肌。
すらっと伸びた背丈。
そして、
腰まで伸びた栗毛色の美しい髪。

間違いなく、そこに居たのは僕の知らないところで成長した彼女、凛花だった。