タッ…!!タッタッ…タタタタッ…!!

僕はもう、スクールバッグをしっかり抱えて走り出した。

この先にはあの黒い扉もある。
それでも家に着くためにはここを通らないと帰れない…

気になって、走りながら後ろをバッと振り向くと、影はユラユラしながら僕の走る方に向かって来ていた。

「!!」

もう反対側には戻れない。
長く感じた地下道は、僕がどんなに走っても出口には着かない。それなのに地下道の黒い扉にだけは近付いていく。

なんだろう?近くから大勢の人の声が聞こえる…
こんな時間に?

反対側の入り口から?

……違う……

思わず立ち止まった僕の目の前の、この、地下道の黒い扉からだ……

僕の後ろにいた影は、立ち止まった僕の後ろで黒い扉の方の壁に消えていった。

…まさか…この声は……


ガヤガヤ…ガヤガヤ……

ギギ〜……

動けず立ち尽くしている僕の目の前で、地下道の黒い扉はひとりでに開く。

「!!」

扉の中は、闇……違う…!
これは全部、さっき僕の後ろにいた、人の形の影……
それが、たくさんこの扉の中に……