「あれ、怜、なんか赤くね?」


「別に」


瑠依くんには、冷たい怜。


「お、涼音ちゃん、リップしてる?可愛い」


「ありがと」


瑠依くんとは、小さい頃から、知り合い。


よく、私たちと遊んでくれた優しいお兄ちゃん。


「じゃあ、行こっか。怜もなんか、黒いオーラ放ってるし」


そう言って、車を発進させた。


「驚いたよ。雨漏りの修理の礼が海までのアシだなんて」


あ、怜が言ってたお礼ってこの事だったんだ。


「涼音、電車だと体調崩すかもしれねーし」


言い訳するみたいに言う怜に頬を抱きつく勢いで顔を近づける。


「ありがと!」


私のことを考えてくれたのが嬉しくて、つい距離を詰めた。


「ああ」


そう言って笑った怜の顔にドキッとする。


身を引くと、ニヤニヤとした顔で瑠衣くんが運転してるのが見えた。