私には、無理。


「大丈夫。ちゃんと合わせて走るから」


うう、もう、走る気だよ。


「わかった、置いてかないでね?」


もう、受け入れるしかない。


「当たり前」


そう言うと怜は、私の手を掴んで走った。


その手にドキドキしてる暇なんてないくらい怜の足は速かった。


「待って、怜、速い......」


息絶え絶えになりながら訴える。


「悪い。もうちょっと、がんばれ」


手が握り直された。


「うん」


家に着いた頃には、全身ベタベタだった。


「涼音、お湯貯めながら風呂はいってこい」


「え?怜は?」


「俺、そのあと入る」


「風邪ひくよ?」


「着替えれば平気。ほら、行ってこい」


怜に促されたら、もう逆らえない。


「わかった」