そう言うと、怜は、私を端っこへ連れていき、囲うようにして、私の前に手をついて立った。


行きでのことを心配してくれたんだと思う。


「怖く、ないか?」


「うん。平気」


電車が目的の駅に着いて、降りるとびっくり。


「ねえ、雨......」


「うわ、最悪」


ため息をつきたくなったけど、怜の手前やめた。


怜まで嫌な思いにさせたくないからね。


「コンビニで傘買ってくか」


「うん」


そして入ったコンビニ、傘は売り切れていた。


「なんでだよ......」


ほんと、なんで......?


「涼音、濡れて困るもの買ってないよな?」


「うん......。まさか......」


「走るぞ」


そりゃ、サッカー部は家までの距離なんてどうってことないと思うよ。