「ねえ、怜、顔見せて」


ピタリと泣き止んだ涼音は、突然そう言った。


「今は、ダメ」


涼音が顔をあげないように頭を撫でるふりして抑える。


「ちょっと、顔見れない」


「見んな」


「怜の意地悪」


「なんとでも言え」


さっきまで泣いてたのはなんなんだよって思うくらいに楽しげな声が聞こえてくる。


そっちの方が安心するしいいんだけどな。


「怜、頭、痛い」


「あっ、わりぃ」


慌てて手を離すと、ニヤリと悪い笑みを浮かべた涼音が顔を上げた。


やられた。


「顔、真っ赤」


「お前もだろ」


こんな日々がずっと続けばいいのにって、そう願った。