ねえ、気づいてよ……

その言葉でついに涙がこぼれた。


「でも、怜、愛香さんが好きなんじゃ......」


なんで、こんなに素直に受け入れられないんだろう。


なにか不安要素をいつも見つけてしまう。


「違う。なんで、そう思ったんだよ」


「怜、愛香さんとキスしたって......」


そう言った途端、怜の顔がぐっと近づく。


そして、唇に柔らかいのを感じた。


「なん、で......」


「俺が愛香とキスしたのは、小学生の頃だから。涼音で上書き......」


たぶん、私の顔、真っ赤だ。


怜も、赤い。


「そっか」


ちょっと嬉しくなる。


「とにかく、俺が好きなのは涼音だけ。許嫁の話は愛香のじいさんに取り消してもらった
ほかに、不安なこと、あるか?」


止まっていた涙が溢れる。