「そんなわけない!」


「じゃあ、なんで」


言うべき......なのかな。


どうしたらいいのかわからなくなって、視線を上にあげる。


「......っ」


なんて顔、してるの......。


怜の顔は、見たことないくらい泣きそうに歪んでいた。


「わかった......。話すよ」


だから、そんな顔しないで......。


「愛香さんのおじいさん、もうそろそろだって聞いたの。だから、おじいさんのためにも、怜から離れないとって、思って......」


聞いた話は、愛香からの話と変わらなかった。


涼音は、全部、俺のためを思ってこの行動に出たんだ。


「俺に、会いたくなかったのは?」


「怜に会って、冷たい態度取られるのも、愛香さんと婚約したって聞くのも、やだったから」