「んー……」


グッと背伸びをして、私、香山涼音ベッドから降りる。


5月半ば、暑くも寒くもないような温度感の過ごしやすい時期。


高校生になって1ヶ月くらい。


ずいぶん慣れた高校では、充実した日々を送ってる。


準備を終わらせて、家を出ればちょうど同じ制服をまとった幼馴染み、三上怜が向かいのドアから出てきた。


「おはよ、怜」


「おはよ」


少し眠そうな彼の隣に並んで歩く。


怜とは物心ついた時から一緒。


クールであんまり話さない怜だけど、ずっと優しくてお兄ちゃんみたいな人。


私が、遠慮なしに甘えられる人。


そして、校内1かっこいいって言われてる。


学校へ向かって歩いてるけど、どんどん視線が多くなっていってるのがわかる。


徐々に私に対する視線が厳しくなっていっているのも……。