なかなか言わない私に怜が心配そうな目を向ける。


「俺から、話してもい?」


「うん」


また、逃げちゃった。


「昨日は、愛香のじいちゃんのお見舞い行って、そのまま親同士で飲み出しちまったから、泊まることになったんだ」


「うん」


「愛香といたのは、コンビニ行った帰りだし、寝るとこも別々だから、ほんとに愛香とはなんにもない」


「知ってるよ......。愛香さんから全部聞いたもん。その......おじいさんのこととか、怜の初キスとかも」


「そうか」


さあ、次は私の番。


「怜、別れよっか」


さっきは出てこなかった言葉が、すんなりでてきた。


「はあ?」


う、怖い。


「なんで」


低い声。


「愛香さんと、幸せにね」


そう言うと、すぐに立ち去った。