「だから、怜くんにふさわしいのは私なわけで、それを怜くんも知ってるわ」


投げかけられる言葉に、返事すらできなかった。


「私は、怜くんが好き。ねえ、私たちのおじいちゃんたちのためにも、お願いよ......」


愛香さんの声は、本当に、懇願しているようだった。


それでも私は......。


「ごめんなさい。どうしても、怜を諦めたくないんです」


「そんな......」


「本当に、ごめんなさい」


「じゃあ、もう一つだけ話したいの。聞いてくれる?」


断った、償いだと思って頷いた。


けれど、愛香さんが話すことはできなかった。


私の、スマホが鳴ったから。


「あ、ごめんなさい」


席をたって、電話に出る。


『涼音?あのさ、今週の土曜日、予定入った』


「そう......」