「俺、今、一緒に帰ってるから無理」


「え?だれぇ?」


「彼女」


怜の一言に私は、頬を染める。


その子は、ちょっとだけ、表情が歪んだように見えた。


あ、この子も、怜が好きなんだ......。


「ねえ、彼女さん!今日、どうしても怜と話したいの。怜を、譲って貰えないかな......」


上目遣いで、可愛くお願いされてるけど、目が笑ってないよ......。


なんとなく、断ったらダメな気がする。


「いい、よ」


「おい、涼音」


怜のちょっとだけ、怒った声が聞こえる。


「私たちは、いつでも会えるよ。じゃあね!」


手を振って、怜の元を去る。


「涼音!」


もう一度名前を呼ばれたけど、振り向けなかった。


きっと、お似合いの2人がいるから、見れなかった。