気合いを入れ直して、ベンチで試合を見守る。


基本、見てるだけだけど何かを言われた時、とにかく早く動かなきゃ行けない。


その時の足が心配だけど、大丈夫なはず。


「涼音ちゃん、ありがとね」


怪我で試合に出れない拓馬先輩に言われる。


「え?」


突然のお礼に戸惑う。


「怜って、あんまり闘争心とかないじゃん。とにかく、楽しみたい感じ」


わかる。


怜って、誰かと張り合ったりとかしないもん。


「だから、涼音ちゃんが入ってくれてよかった」


「私も......。私をサッカー部に誘ってくださって、ありがとうございました。おかげで毎日、学校へ行く理由ができました。毎日、楽しいです」


そう笑って言うと、拓馬先輩も笑う。


「良かった。俺、強引に誘ったから、ほんとにここに入って後悔してないか不安だったんだ」