ぎゅうううううぐぎゅううううう


3時間めの英語の時間にあたしのお腹が音を立てた。
周りからクスクス笑い声も聞こえる。


「・・・・・・・・・・・。」


昨日妹に痩せる方法を聞いてとりあえず昨日の夜と今日の朝のご飯を抜いた。
全然体に力が入らない。
お腹すいたな・・・夜は野菜か豆腐だけ食べよう・・・。
お腹を撫でながらそんな事を考えていた。


「マシュマロちゃん♪」


休み時間、あたしが自販機で水を買っていると隣から甘い声が聞こえた。


「美月くん・・・。」


甘い声の持ち主美月くんがジャージ姿で隣に立っていた。
あたしを見てにっこりほほ笑んでいた。


「水なんか飲んでるのー?」

「そう水・・・。」


ペットボトルの蓋を開け音を立てて水を飲む。
500mのミネラルウォーターはあっと言うまになくなってしまった。


「すごい勢い・・・。」

「・・・・・・・・。」


なくなったミネラルウォーターの蓋を閉めている時にあたしのお腹が再び音を立ててなった。

グギュウウウウウウ


「・・・・・・・・・・。」

「あは(笑)すごい音。」


美月くんがクスクス笑い出した。


「お腹すいてるの?」

「・・・・すいてるっていうか・・・。」


お腹を撫でながらゴミを捨てている所に美月くんがグーで片手を伸ばしてきた。


「え?」

「パーしてパー。」


手を突き出したままの美月くんがにっこりほほ笑む。
あたしは美月くんの突き出した手の下に手を広げた。

ポトッと音をたててこじんまりしたキャンディーが落ちた。


「・・・・・・・・・・・。」

「あげる♡お昼までがんばろ!」


ニコニコ手を振りながらあたしから離れて行く美月くん。

キュウウウウウウウ

また音がなった。お腹からじゃなくて胸から。

今までうすうす感じてたけどあたし美月くんがすきだ。

恥ずかしくて自分に自信のない女はもう嫌。

やっぱり痩せたい。素敵な女のひとになりたい。

美月くんの隣を笑顔で歩きたい。