ましゅまろ


屋上のドアを開け美月くんがシートを広げる。


「お弁当食べるの?」

「・・・・・・・・・・・。」


返事をしないまま白いナイロンビニール袋を逆さにした。
中からは、おにぎり、サンドウィッチ、菓子パンなどがドサドサと音を立てて出てきた。
その中のプリンとやきそばパンを持ちあたしに差し出す愛しい人。


「食べようよ。」

「・・・・・・・・・・・。」

焼きそばパン261kcal+プリン225kcal・・・・・。
自然と頭の中でカロリー計算をしてしまった。


「・・・・・美月くんが食べて良いよ?」

「・・・これはましゅまろちゃんの。」


今までならすぐに受け取って食べてた。
でも今は、きれいになって美月くんに告白したくてダイエットしてるのに・・・。


「あたし・・・ダイエット中だから・・・。」

「何で?」

「・・・・・え?」

「ダイエットなんかする必要ないじゃん。」


美月くんが俯いたまま焼きそばパンを握りしめる。


「ましゅまろちゃん変だよ。ダイエットダイエットって。」

「・・・・・・・・・・・・。」

「痩せてなにがしたいの?好きなこと我慢してまで痩せたいの?」

「・・・・・・ッ・・・。」


ダイエットして告白したかったのに。
食べる事だいすきなのにそれも我慢して・・・。
ダイエットしなくても細くて好きな物食べれる美月くんに・・・。


「何がわかるの?」

「・・・・・・・・・・・。」

「人の気持ちも知らないで!!!勝手な事ばっかり言わないでよ!!」


とっさに心の声が漏れてしまった。
手に持っていたランチバックを美月くんに投げつけて屋上に入口へ足を運んだ。


「ましゅまろちゃん!!!!」


美月くんが駆け寄ってくる音がする。


「ついて来ないでよ!!!」

「ちゃんと話そうよ!!」


階段を降りようとした瞬間美月くんに腕を捕まれた。


「離してよ!!!!」

「危ないって!!!!!」


美月くんの声が聞こえた瞬間目の前が真っ暗になった。
頭がくらっとして階段の段差を踏み外した。


「ましゅまろちゃん!!!!!!!」


階段から落ちてしまった。でも


あたしはどこも痛くなかった。



「いったぁ・・・・ッ・・・・。」


あたしの下から声がする。