ルナという邪魔者がいなくなり、マリーは上機嫌で日々を過ごしていた。美しい宝石やドレス、おいしいスイーツに囲まれ、アーサーや使用人、取り巻きたちをこき使い、好きなように生きていく。

「この人生は勝ち組ね。何でも思い通りだもの」

こんな日々がずっと続いていくのだと、マリーは心の底から信じ切っていた。自分の人生に相応しいのは豪華なこの王国のような世界で生きることだ。しかし、人生には望まないことが起きてしまうこともある。

「マリー、話がある。そこに座りなさい」

ある日の夕食の後、マリーは疲れ切った様子の父に呼び止められ、応接室の豪華な椅子に腰掛ける。

「話って何?家族旅行にでも行くの?それともまたパーティーに招待されたとか?」

のん気なことを言うマリーに対し、父は重苦しい雰囲気を放ちながら唇を動かす。

「私たちはもう、貴族ではいられない。破産したんだ」

「は?」

父の言葉が理解できなかった。フォスター家はこの国で一番の家柄で、そのおかげでマリーは楽に生きてこれた。そのフォスター家が破産した?意味がわからない。